かめや惠庵 伊豆長岡温泉
山野草を楽しめる宿を目指しています
食事処「花野」でご主人の河野さんに宿のことや伊豆長岡温泉についてお話を伺いました。
かめや惠庵は昭和37年に開業し、約57年が経とうとしています。
「昭和36年に先代が熱川温泉にあった2階建ての旅館を移築し、翌年から宿を始めました。現在、9,000坪の敷地の中に建物があり、客室は22室です。敷地内には山があり、緑豊かなところが魅力だと思います。たとえば、5〜6月頃はシャガやシュウカイドウなどが群生し、季節ごとの山野草が楽しめる環境です。今は雑木が多いですが、モミジやヒメシャラなど良い木だけを残して庭をつくり、森林浴を楽しみながらの散策ができるように少しずつ整備していきたいですね」とご主人。
「かめや惠庵」ご主人の河野さん
小高い山の中腹に位置するかめや惠庵は本当に自然が豊富です。下の写真を見ていただくとわかるとおり建物を包み込むように山が位置しています。
右側の建物がかめや惠庵
玄関前の庭も素敵な雰囲気でした。
取材時は花の少ない時期でしたが、可憐な山野草の姿を見ることができました。
取材時に咲いていたギボウシ
早朝に整備中という裏山を案内していただいたのですが、そこには豊かな自然が広がっており、圧倒されました。建物のすぐそばにこうした大自然があるなんて素敵です。
大自然に圧倒される井伊湯種
5〜6月頃に見られるシャガ
「春には斜面に自生しているシュンランやエビネなども見られます。本当に自然が豊かなため、癒しがあふれていると思います。この山をきれいに整備して庭をつくりたいという思いがあります。そして山野草が好きなお客さまが来てくださるようになったら、うれしいですね」
春に咲くシュンラン
春に咲くエビネ
伊豆長岡温泉の魅力づくりが課題
伊豆長岡温泉は伊豆半島の玄関口のため、アクセスが良くて訪れやすいのも魅力の１つ。高級旅館からリーズナブルな宿までさまざまなタイプの温泉宿があり、好みに応じて宿泊することができます。
「経営者が変わり名前が残っているところもありますが、今では宿の数は全盛期の3分の1になってしまいました。伊豆長岡温泉は東京からも近くて、比較的リーズナブルに宿泊できるエリアだと思います。ただ近くの修善寺温泉に比べると特色が少なく、地味かもしれません。多くの方に訪れていただけるように今後は各旅館で魅力づくりを考えることが必要だと思います」。
ご主人にお話を伺う井伊湯種（いいゆだね）
「私は今70歳です。これまでは85歳位のお客さまがよく泊まりにいらっしゃっていましたが、年々来れなくなるお客さまが増え、リピーターが減ってきたのが寂しいです。宿泊プランについてもいろいろ悩んでいます。鮑などの高級食材を使って集客している宿も多いですが、料理の写真を見てこんなに量が多くて大丈夫なのかと心配になることもあります。今後、当館では食事内容のプランだけではなくて、観光を付けた宿泊プランも必要だと考えています。今はインターネットが普及していますから、見やすいサイト作りなど、いろいろ課題はありますね」
グローバルな宿泊予約サイト「Booking.com」で9.2点を獲得
お話を伺っているとご主人の誠実な人柄や宿の集客に真摯に取り組んでいる様子が伝わってきます。かめや惠庵はグローバルな宿泊予約サイト「Booking.com」で10点満点中9.2点を獲得しており、伊豆長岡ではトップクラス。スタッフの接客や快適さ・清潔感・お得感の順で評価されています。
「接客についてはあまりしゃべりすぎてもいけないし、その兼ね合いがむずかしい。スタッフにはお客さまに喜んでいただける、心のこもった接客をするように指導しています」
外国人のお客さまについては1日2組位、宿泊されているそうです。
「外国人のお客さまはいろいろ観光して回りたいため、どうしてもチェックインが遅くなりがちです。最初は1泊2食付きのプランを販売していたのですが、20〜21時にチェックインされたり、キャンセルされる方が多かったので、夕食付きはやめ、素泊まりか朝食付きのプランを販売するようになりました。こうした宿泊スタイルは伊豆長岡ではめずらしいのかもしれません」
また、お話の中で印象的だったのは40年間、ほとんど宿泊料金が変わっていないということ。
「平日の宿泊料金の目安は1泊2食付きで10,000円〜15,000円（税別）。別邸の露天風呂付き客室はブームの頃は１人30,000円位でしたが、現在は20,000円から宿泊できます」とご主人。
心地よく過ごすことができ、湯遣いの良い温泉や美味しい料理、そして自然豊かなロケーション。さらにコストパフォーマンスの高さもかめや惠庵の魅力の一つだと思います。
