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真砂館 倉真温泉(くらみおんせん)静岡県掛川市

「とてもゆっくりできました」と
言っていただけるよう頑張りたい

パワースポット「百観音」へのお参りもおすすめです

真砂館の女将、染葉広美さんに宿の楽しみ方やパワースポット「百観音」とのかかわりなどについてお伺いしました。

真砂館 女将さん

真砂館の女将、染葉広美さん。お話を伺った客室「光琳」は襖絵の菖蒲の花が印象的でした


「真砂館周辺にはお店や遊べる施設はありませんので、館内でゆっくりお過ごしいただければと思います。館内には大浴場が2つ、貸切風呂が3つありますので、全てのお風呂でゆっくり美人の湯を楽しんでお顔がツヤツヤになってお帰りいただけるとうれしく思います。また、ここには豊かな自然があり、昆虫や川魚、カエルなどとのふれあいが楽しめますから、『都会では体験できないことができる』とお子さま連れのお客さまにも好評です」と女将さん。

お話を伺った客室「光琳」から見える池には、天然記念物のモリアオガエルが産卵にやってくるそうです。私、井伊湯種も大浴場の窓からトンボが浴室に入ってきてびっくり。こんなときは大人でも楽しいのに子供だと忘れられない思い出になるかもしれません。

真砂館 女将さんと井伊湯種

お話を伺う井伊湯種とやさしい表情で穏やかに語る女将さん


真砂館「飛天の湯」 

トンポが入ってきた大浴場「飛天の湯」


接客については「かつては近隣からのお客さまが中心でしたが、今は全国からお客さまが来てくださいます。それはとてもありがたいことで、お帰りの際に『とてもゆっくりできました』と言っていただけるようみんなで頑張りたいと考えています。また、お客さまの観光の楽しみ方も昔と変わってきました。最近では当館に宿泊し、掛川周辺を回るというよりは、たとえば富士山や御殿場、伊豆など、遠方に行かれる方が多いようです。そうした傾向がある中で、沖縄から当館で過ごすことだけを目的にされたお客さまがいらっしゃって、感動しました。さらにお客さまの満足度を高め、静岡にはこんな良い旅館があると言っていただけるように努力していきたいと思います」。

都会の喧噪から離れて大人はのんびり過ごし、子供は自然に親しむなど、山間の静かな温泉宿ならでは楽しみ方ができる真砂館。真砂館を拠点にして静岡観光はもちろん、宿から歩いて20分ほどの「百観音」への参拝もおすすめです。

土砂に埋もれた観音様を先代が供養したことがご縁の始まり

真砂館を語るうえで欠かせないのが「百観音」にまつわるエピソード。真砂館から1キロほど登った山に180体以上の観音様が祀ってあり、「百観音」と呼ばれています。

真砂館 百観音

180体以上の観音様が祀られている百観音


もともとは明治27年、日清戦争時に村の出征兵士たちの無事帰還を願い、33体の観音石仏を祀ったのが始まり。
戦争終了後、全員が無事に帰還し、それから「倉真の観音様にはご利益がある」と評判になりました。各地から参拝する人が増え、観音石仏が百体を超えるようになりました。ところが、昭和の時代に入り太平洋戦争で日本が敗れてからは、百観音は見向きもされなくなり、人々からは忘れられた存在になっていったそうです。

「昭和56年頃のことになりますが、私の父が鉄砲を担いで山へ猪狩りに行ったときに土砂に埋もれ、何体もの荒れ果てた観音様を目にしました。それらを掘り起こし、元の位置に戻して一度供養したいと思った父はお寺や村の人に相談したところ、小さなお祭りをしてお坊さまに読経をしていただくことになりました。人を集めるために、大きな観音様を作り、山車にのせ、子供たちに山頂まで引いてもらうことにしたのです。それは百観音が祀られてから90年ぶりの出来事でした。その観音様は現在、宿のロビーでご覧いただけますが、父が試行錯誤の上、手作りしたものです」。

真砂館 先代の観音様

百観音のお祭の際につくられた観音様


うれしい偶然が重なり、その祭りの様子はNHKや民放テレビで放映され、再び倉真の観音様が知られるようになり、お参りに訪れる人が増えていったそうです。

百観音まで道案内した愛犬ウィンキー

「ところが観音石仏の傷みが激しく修復が難しかったため、建立から100年目を迎えた平成6年、新たに観音石仏をつくって祀りたいと考えました。私の母が真砂館宿泊のお客さまにお話をしたところ、寄進したいという人が集まり、一年も経たないうちに三十四体を山にお祀りすることができました。現在は180体以上の観音様が祀られていますが、それに一役買ったのは愛犬のウィンキーです。ウィンキーは不思議なことに宿のお客さまを百観音まで案内するようになり、宿の名物犬になりました。出発の時はクシュンと鼻を鳴らして合図をし、お客さまの歩調に合わせてご案内するなど、その様子がテレビや雑誌などで何度も紹介され、全国までウィンキーの名が知れ渡るようになりました。そして観音様のご利益をいただいた方々がお礼にと観音石仏を寄進し、どんどん数が増えていったのです」

真砂館 肖像画

館内に飾られたとウィンキーと先代の女将さん(染葉洋子さん)の肖像


ウィンキーは平成11年に老衰のため亡くなってしまいましたが、真砂館の前庭にウィンキーの銅像が建てられ、今でもその功績を称えられています。享年21歳。命の危機が3度もありましたが、奇跡的に回復したそうです。

真砂館 ウィンキーの銅像

ウィンキーの銅像


真砂館 ウィンキー物語

先代の女将さんが出版した「ウィンキー物語」。客室に置いてありますので、ぜひ一読を


帰り際にウィンキーの子孫の3匹のワンちゃんに会うことができ、うれしく思う湯種でした。

真砂館 ウィンキーの子孫

女将さんとウィンキーの子孫のワンちゃん


「これまで宿の中でも観音様のご利益とも言える不思議なことやうれしいことがたくさん起きました。多くの方に倉真の観音様とのご縁を結んでいただけたらと思います」

私、井伊湯種も宿のチェックアウト後、百観音を訪ねました。

山の中にたくさんの観音様が祀られていて、清浄な雰囲気。観音様とご縁を結ぶと良いことがあるそうです。倉真温泉に訪れた際にはぜひ訪れてみてください。

真砂館 百観音

山の中に立ち並ぶ百観音

真砂館 百観音と湯種

お堂の鐘を鳴らす井伊湯種

→次は宿情報です

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