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静岡市 油山温泉 元湯館

感幸旅館(かんこうりょかん)を目指しています

非日常の空間や何もない贅沢を味わってほしい

油山温泉 元湯館の代表取締役の海野さんに宿の楽しみ方などについてお伺いしました。もともと湯治場だったという元湯館が旅館として開業したのは昭和39年11月。海野さんは三代目として70歳過ぎのお母さま(女将さん)を含め、8人の従業員で旅館を切り盛りしています。

「油山温泉 元湯館」代表取締役の海野氏

「油山温泉 元湯館」代表取締役の海野さん。ソフトな人当たりで穏やかな雰囲気


「油山温泉は今川義元の母の寿桂尼が湯治に訪れた温泉だと伝えられています。かつては静岡駅前の札の辻、現在の伊勢丹が立地しているところまでお湯を運んで今川氏が温泉を楽しんだという記述も残っています。ここから車で1時間位のところに梅ヶ島温泉がありますが、梅ヶ島温泉が武田信玄の領地であった頃は油山温泉が駿河で唯一の温泉地だったと言われています。」

梅ヶ島温泉郷には2015年に取材で訪れたことがありますが、最近まで油山温泉について詳しく知りませんでした。梅ヶ島温泉はかつて「信玄公の隠し湯」と言われており、油山温泉は今川氏ゆかりの温泉地。寿桂尼の死後、武田信玄によって駿河攻めが行なわれ、今川氏が滅亡したと伝えられています。歴史的にもとても興味深いと思いました。

井伊湯種とご主人

お話を伺う井伊湯種と、代表取締役の海野さん

「元湯館は静岡駅から15km位のところに位置し、車を利用すると30分位。静岡駅から最も近い温泉地のため、お客さまは静岡市内からの方が多いです。宿に残っている写真を見ると、著名な芸能人やプロ野球チームも訪れていました。特に個性的な髪形が特徴的な女優さんの若い頃の写真を見たときは、すごくきれいでびっくりしました。ご覧になっていただければわかりますが、旅館の周りには何もありません。静岡市街地からこんなに近いのに、秘湯のような非日常空間というのはあまりないかもしれないと思っています。ここで味わっていただきたいのは何もない贅沢です。観光旅館という言葉がありますが、静岡市内で観光目的の来館は難しいのではないかと思っており、当館が目指しているのは感幸旅館(かんこうりょかん)です。ここへ訪れることによって少しでも幸せな気持ちを感じていただければ…と思っています」

観光旅館から感幸旅館へ。静かな山の中だからできる素敵な試みだと思いました。日常のガサガサした雑事から解放され、古き良き時代の日本が感じられる空間でのんびり過ごすのは贅沢なことだと思います。常連の方の中にはふらりと立ち寄ってお茶だけ飲んで帰っていく方もいるそうです。車で気軽に訪れることができますし、ゆっくり時間が流れているお気に入りの空間に短時間でも滞在することでリフレッシュすることができるのではないかと思いました。

囲炉裏

囲炉裏のある空間が人気

思わずほっこりできる宿の雰囲気

接客については「何のために、誰のためにやっているのか。それを忘れずにお客さまに接することが大切」という考えのもと、従業員に指導しているとのこと。
「お客さまの反応はさまざまですが、従業員同士、仲がよくてほっこりしたというお言葉をいただいたり、威勢の良い従業員に助けられたと言われることがあります。あまり細かいことは伝えていませんが、従業員同士仲良く、元気よく働いてくれたら良いと思っています」

従業員同士の関係は目には見えませんが、宿の雰囲気に強く反映される傾向があります。従業員同士が上手くいっているところは宿の雰囲気が良いところが多いような気がしました。

カエルの置物

玄関にさりげなく置かれていたカエルの置物

野菊

客室の床の間に飾られていた野菊


威勢が良いといえば、宿のなかでは女将さんがチャキチャキしていて一番元気なようです。チェックイン後、女将さんに客室へ案内していただいたのですが、とても元気で、清々しさが感じられました。竹を割ったような女将さんと穏やかな印象の代表取締役の海野さんが親子で営む元湯館にぜひ訪れてみてください。

→次は宿情報です

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