箱根湯本温泉 萬寿福旅館
素晴らしくレトロな3つの家族風呂
職人の技と遊び心があふれる湯宿!
箱根の玄関口、箱根湯本の温泉地に位置する萬寿福旅館(ますふくりょかん)。旅館周辺は「湯場」と呼ばれ、箱根の中でも古い歴史を持っています。箱根湯本の開湯は奈良時代と伝えられ、鎌倉時代には宿場として、江戸時代には湯治場として栄え、現在も賑わいを見せます。
湯本橋を渡った真正面にある萬寿福旅館は、昭和8年に宮大工によって建てられた3階建ての湯宿です。館内は箱根湯本の賑わいとは別世界。独特の空気が流れていて、素晴らしくレトロな雰囲気です。昭和初期の趣きがそのまま残っていますので、古いものが好きな方にはたまらないでしょう。
萬寿福旅館の部屋数は全6室。お風呂は源泉かけ流しの家族風呂が3つあり、貸切で利用できます。
萬寿福旅館のお風呂は、レトロなタイル張りで、床にヨーロッパから取り寄せた大理石を使用。この大理石は箱根の交通が発達していない時代に、職人が港からリヤカーで運んできたものだそうです。大理石の床はオーバーフローしたお湯で温かさが続くので、寝湯も楽しめます。
萬寿福旅館の源泉は4本の混合泉を利用。お湯の温度を調整するために、温度の異なる源泉をうまく組み合わせています。先祖代々受け継いだ30℃位の源泉(湯本7・9号)と60℃位の源泉(41・79号)が湯船内の2か所からそれぞれ投入されています。
お湯の温度は43〜44℃に仕立てられ、入っている人が熱いと感じたら水を足して湯温を調整するというスタイル。水は須雲川方面にある「玉簾の瀧(たまだれのたき)」の湧き水を使用しているそうです。
萬寿福旅館の温泉はとろりとしたお湯のため、熱くても入れてしまうのが不思議。なるべくなら水を足さずに100%源泉かけ流しを楽しみたいですね。
お湯からは良い香りがして、鮮度も上々。泉質はアルカリ性単純温泉です。洗い場はありませんが、湯遣いとレトロな雰囲気がとても良いので、温泉好きなら一度は入っていただきたい温泉だと思います。
「末広の湯」の脱衣所も素敵です。モダンな色合いで、大きな鏡の「キリンビール」の文字やタイル張りの洗面所が印象的。
2つ目の家族風呂は「半月の湯」。3つの家族風呂の中では一番広く、壁面にはオシドリのつがいがタイルで描かれています。
「半月の湯」の脱衣所は曇りガラスをはじめ、所々に木の細工が施されています。
3つ目の家族風呂は「梅の湯」。ピンクのタイル張りのお風呂で、湯船の形も梅をイメージしています。脱衣所入口の看板の上や脱衣所の照明にも梅のモチーフが使われ、さりげないところに職人の遊び心を感じました。
廊下の奥に古いマッサージ機が置かれていて、今も現役。10円を入れたら、ちゃんと動きました。意外と元気に動くマッサージ機に座って身体をほぐしていると「自分は今、どこにいるのだろう」という気分に。昭和の時代にタイムスリップしたような不思議な感覚を味わった湯種でした。
萬寿福旅館では日帰り温泉も受け付けていますので、まずは電話で問い合わせてみてください。個性豊かな女将さんとの会話も楽しいですよ〜。
また、女将さんによれば、湯屋を舞台としたアニメーション映画「千と千尋の神隠し」に、萬寿福旅館の玄関部分や円窓等が参考にされているのだそうです。実際に映画を見てみたところ、確かに建物の佇まいも似た雰囲気がありますね。温泉マニアだけではなく、アニメファンも要チェックですよ〜。
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