伊東温泉 梅屋旅館
「塩湯」と「山の湯」が楽しめる、マニア好みの温泉
お風呂は100%源泉かけ流し
温泉析出物のツララを初めて見ました!
JR伊東駅から徒歩4分ほど、静かな路地を入ったところにある梅屋旅館。こちらは温泉マニアの間で「塩湯」が有名です。私、井伊湯種(いいゆだね)は未湯でしたので、伺うのがとても楽しみでした。
住宅街にある旅館は女将さんが1人で営んでおり、部屋数は8つ。建物は大正時代のものらしく、開業は昭和14年とのこと。古い建物ですが、館内は清潔で、親戚の家を訪ねるような親近感があります。
家庭的なお風呂が2つあり、それぞれ異なる泉質のお湯に入れます。
まずは奥にあるお風呂に案内していただきました。まず驚いたのは、天井からツララのようなものがぶら下がっていたこと。これは一体…?
「これは温泉の石灰分などがツララみたいにぶらさがっているんですよ。手前は掃除をしたから、なくなっちゃった…」と女将さんがにこやかに説明してくれました。
これまでいろいろなお風呂に入り、温泉成分が付着したプードル状の蛇口や色の変わった湯口など、浴室内のさまざまな温泉析出物を見てきましたが、この形状は初めて。「貴重なものが見られて幸せ…」と、思わずテンションが高くなってしまいました。
肝心のお湯はといえば、山から引いているという「山の湯」を100%源泉かけ流しで楽しめます。湯船は3〜4人くらい入れる大きさ。pHは8.22と弱アルカリ性のお湯で、泉質はナトリウム・カルシウム−硫酸塩・塩化物温泉です。
源泉の温度54.7℃ですが、温泉供給時は45℃ぐらいになります。加水はしないため、とにかくお湯の温度が熱いのが特色。湯船に入ると熱くて、20秒も入っていられません。しかし、サラリとしていて、とても気持ちの良いお湯でした。
また、メタケイ酸も63.7mg/Kg含まれている美肌の湯でもあります。
手前側のお風呂では、「塩温泉」が楽しめます。「山の湯」の源泉が蛇口から絶えず湯船に注がれ、「塩湯」のホースは湯船の外に出されていました。
「山の湯」は45℃位あり熱いので、35℃前後の「塩湯」を入れて、ほどよい湯加減にするのが梅屋流。2つの源泉を源泉かけ流しで堪能できるのはもちろん、そのブレンド具合も楽しめるステキなお風呂です。
この「塩湯」はこの宿の自家源泉。源泉はお風呂場の地下にあり、3件で利用しているそうです。ホースから出ている源泉を浴びてみれば、強い塩分を感じました。口に含むと、硫黄の香りのする、かなり塩辛い湯。とても飲み込む気にはなれません。pHは7.39(実測)の中性のお湯です。成分分析はされていないそうですが、温泉成分の濃い塩化物泉だと思います。
伊東駅近くでこんな素晴らしい温泉に出会えるとは思いませんでした。女将さんの気さくでどこか上品な雰囲気もステキです。手芸や小物づくりが趣味とのことで、館内に作品がさりげなく飾られています。夏にはロビーに100匹もの金魚の飾りが涼しげに揺れていたそうです。
2015年の取材時以降、あまりの居心地の良さに、湯種は何度も梅屋旅館さんに伺っています。テレビ番組出演時に「おすすめ温泉」として紹介したこともありました。
今回、久々に泊まらせていただいたところ、名物の「塩湯」はポンプ故障で出ていませんでしたが、1階、2階ともトイレがきれいにリニューアルされ、温水洗浄便座式になっていました。コロナ禍で休業していた時期に工事されたそうです。
リーズナブルな料金で泊まれますし、日帰り温泉もやっていますので、ぜひ訪れてみてください。
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