ホテル河内屋 南伊豆下賀茂温泉
「湯雨竹(ゆめたけ)」で100%源泉かけ流しを実現!
約90℃の自家源泉を竹製温泉冷却装置で適温に
南伊豆町の下賀茂温泉街に位置する「ホテル河内屋(かわちや)」は明治37年創業の温泉宿。宿の裏手には青野川が流れ、2月から3月にかけて、みなみの桜と菜の花まつりの会場になります。
ホテル河内屋は敷地内(中庭)に自家源泉を所有し、下賀茂温泉を100%源泉かけ流しで楽しめる宿。
地下26mから湧き出す源泉は約90℃と高温のため、以前はやむなく加水をして温度調整をしていたそうです。しかし、竹製の温泉冷却装置「湯雨竹(ゆめたけ)」を2011年に導入し、加水を行なわないで冷ますことで100%源泉かけ流しを実現しました。
この「湯雨竹」は、大分別府のひょうたん温泉で開発された温泉冷却装置。仕組みとしては源泉を上部のヒノキの樋(とい)に入れてあふれさせ、こぼれたお湯が竹枝を伝って落ちることで、50℃程度の温度に調節できます。気候や季節などの状況にも左右されやすいお湯の温度管理はとても大変ですが、水を加えないで入浴に適した温度に調整することができるようになりました。「100%源泉かけ流しを実現するのが長年の夢だった」というご主人の温泉への強いこだわりが感じられます。
「自然の恵みである温泉の泉質や鮮度をそこなうことなく提供したい」というご主人の湯遣いへのこだわりは素晴らしいと思いました。別府以外では初めて見る「湯雨竹」も興味深く、長年を経て源泉槽についたと思われる温泉析出物も見事。
「湯雨竹」見学のあとは、ホテル河内屋自慢のお風呂へ。男女別の大浴場(内湯・露天風呂)があり、22時に入れ替えになります。
湯量豊富な自家源泉を100%かけ流しで楽しめるのはとても贅沢。ジワジワと染み入るようなインパクトがあり、お湯には鮮度が感じられました。心身ともにリラックスすることができ、「このお湯に浸かるとその日はぐっすり眠れる」という地元の方もいらっしゃるそうです。
泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物温泉。下賀茂温泉ならではの塩分の強いお湯です。お湯の浸透圧には、「高張性・等張性・低張性」があり、ホテル河内屋の場合は「等張性」。お湯と体液の浸透圧が同じ位の温泉のため、水分の移動がほとんどありません。そのため、身体にとてもやさしい温泉と言えるでしょう。身近にイメージできるものとしては、アイソトニック飲料がありますね。このサイトで2013年から温泉施設を200件以上取材していますが、「等張性」の温泉はめずらしいと思います。
ホテル河内屋の温泉を湯種愛用のpHメーターで計測したところ、「7.8」を示し、弱アルカリ性のお湯であることがわかりました。しかもメタケイ酸も豊富に含まれた美肌の湯です。
南伊豆を訪れる際には、1人でも多くの方にホテル河内屋の100%自家源泉かけ流しを堪能してほしいと思った湯種でした。
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