クアハウス石橋旅館 下田蓮台寺温泉
レトロな老舗旅館でクアハウス体験
入湯プログラムを楽しみながら、100%源泉かけ流しを堪能!
伊豆急下田駅から車で約5分。稲生沢川と蓮台寺川に沿った長閑な山あいに1300年の歴史を誇る下田蓮台寺温泉があります。その中心部にあるクアハウス石橋旅館は創業約150年の老舗旅館。
唐破風御殿造りの玄関をはじめ、古き良き時代の日本建築の面影を残す佇まい。ロビーの格子天井には漆喰の花彫刻が施され、みやびやかな美しさがあります。これらは寺社仏閣に造詣の深かった五代目・石橋謙太郎氏が職人の先頭を切って完成させたものだそうです。
もともと奥座敷にあった石橋別荘で本格的に旅館業を始めようとして山林を切り開いてつくったのが回廊トンネルです。クアハウスや客室へは幻想的な洞窟のような通路を70メートルほど歩いて行きます。この回廊のデザインは芸術家が手がけ、照明による影の演出も素敵。
「クア」はドイツ語で保養・治療・回復を意味し、ドイツでは300年以上の歴史を持つクアハウスは温泉と運動の効果を活用し、楽しみながら健康づくりを目指せる温泉保養施設を指します。
クアハウス石橋旅館が館内にクアハウスの施設をつくったのは約30年前。心身ともにリラックスできる施設をつくり、当時としては斬新な試みだったそうです。クアハウス開設後、1988年にオーストリアの温泉保養地バード・ハルと友好提携も結びました。
クアハウス石橋旅館のクアハウスは内湯と露天風呂で構成され、一見では一般的な大浴場のように見えますが、(財)日本健康開発財団の指導に基づき、一般健康コースや疲労回復コース、美容コースなど、健康や美容のための入湯プログラムを楽しめるようになっています。
今回は一般健康コースを湯友の湯達入郎(ゆったりはいろう)氏とともに取材しました。
まずは入浴前にかぶり湯を。温度の異なる2種類のかぶり湯が用意され、中温5杯、高温5杯程度を足から上部にかけていきます。これは温泉に入る前の準備で血管を拡張させ血圧の急な上昇を防ぐため。
次は全身浴や部分浴を5分ほど。露天風呂の心地よい風を感じながら、加水、加温、循環もなしの100%源泉かけ流しを楽しみます。源泉は宿から50メートル位のところにあり、100年位前に有志を募って掘られたもので、温度は48.5℃。現在は蓮台寺温泉組合によって管理され、毎分1,250ℓという豊富な湧出量を誇る源泉を利用しています。
続いてうたせ湯へ。肩や腰や背中など、コリのあるところに湯を当てます。湯に打たれた部分がほぐれて、良い感じ。一部分を2〜3分ほどが目安です。
次は肩まですっぽりお湯に浸かって5分ほど気泡浴を楽しみます。お湯はまろやかでツルリとした肌触りの弱アルカリ性単純温泉。気泡浴のあとは湯船から上がり、5分間休憩します。休憩の間に、水分補給をしても良いようです。
5分間の休憩のあとは箱むし・噴出浴です。木の箱の中は蒸気でミストサウナ状になっており、汗がダラダラ出てきて気持ちよいです。また、ここでは噴出浴も楽しむことができ、噴き上げる源泉がマッサージ効果と血行を促します。
一般健康コースのラストは寝湯で全身を伸ばしてリラックス。目安は10〜30分ですが、いつまでも入っていたいと思いました。
寝湯の後は、30〜60分間の休憩をして身体を休めます。ただ入浴するだけでなく、こうした入湯プログラムに沿って温泉を楽しむのはとても新鮮です。
また、別室にはトレーニングルームが用意され、エアロバイクやランナーなどのトレーニング器具を使って運動ができるようになっています。これもクアハウスの特色の一つですが、取材時はリニューアル中で撮影できませんでした。運動後に10〜20分位休憩してからの入浴が効果的だそうです。
クアハウスは日帰り入浴でも利用できますので、興味のある方は一度体験してみてください。
また、クアハウス石橋旅館の客室は全26室。すべての客室に源泉かけ流しの浴室が付いています。
その中で和洋室に案内していただきました。広縁付きの10畳の和室はゆったりとしていて、欄間や床柱などに古い日本建築の意匠を見ることができます。一方、大きな窓に面した洋室は大きなソファーが置かれ、レトロモダンな雰囲気。ゆっくりとした時間が流れているような客室です。
クアハウス石橋旅館は、レトロな日本建築や回廊がとても素敵なお宿。お風呂の種類もいろいろあり、楽しい時間を過ごすことができました。特に箱むし風呂や寝湯が気に入りましたので、再訪してゆっくり入ってみたいと思います。
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