源泉 駒の湯荘 伊豆の国市奈古谷
「ぬる湯の名湯」の復活に感動!
2017年11月、「源泉 駒の湯荘」としてリニューアルオープン
静岡県伊豆の国市奈古谷にある「源泉 駒の湯荘(げんせん こまのゆそう)」を訪ねました。場所は中伊豆の畑毛温泉(はたけおんせん)の近くに位置し、ぬる湯の自家源泉かけ流しを堪能できます。こちらの温泉は井伊湯種(いいゆだね)が何度通ったかわからないほど、大好きな温泉です。
前身の施設は昭和52年(1977年)に開業し40年にわたり、ぬる湯の名湯として親しまれてきた「駒の湯 源泉荘(こまのゆ げんせんそう)」。2017年9月の閉館が決まってからは、多くのファンが別れを惜しんで通いました。湯種ももちろん惜別に行った一人。結局、この温泉のレポートをできないまま閉館となってしまったことも残念だと思っていました。
ところが閉館の2か月後、現在の経営者が引き継いで再開してくれたことは多くのファンにとって喜ばしい出来事でした。湯種自身も「今度はレポートできる!」と、とてもうれしく思いました。
そんなわけで2017年11月末、日帰り温泉「源泉 駒の湯荘」としてリニューアルオープン。現在の経営者が「駒の湯」の名前を残したかったので、この施設名にしたのだそうです。
玄関の脇に設置された自動販売機で入浴券を購入し、受付へ進みます。利用時間に応じて、さまざまなコースが用意されています。
また、小さなお子さん連れの方には、ベビーバスのレンタルもできますので、受付にお問い合わせください。
フェイスタオルは200円で販売があり、バスタオルは200円でレンタルができます。
館内の受付や浴室レイアウトは基本的に旧施設と同じですが、リニューアルされた箇所も多くあります。ログハウス風の湯上り処は地元の方の作品が飾られてギャラリー風になっていたり、喫煙ルームなどが新設されていました。
館内はスリッパなしで歩けるようになりました。廊下には洒落たインテリアが飾ってあります。
浴槽ごとに湯温が異なる、ぬる湯パラダイス!
「源泉 駒の湯荘」は、ここでしか入れない独自源泉を所有しており、毎分約200リットルの豊富な湯量が湧き出しています。源泉の温度は39.4℃。源泉地が建物から150メートルほどのところにあり、湯口では2〜3℃ほど下がるようです。
「源泉 駒の湯荘」の素晴らしいところは、すべての浴槽で源泉かけ流しを楽しむことができるのはもちろん、浴槽ごとに湯温が異なること。加水は一切していないそうです。
かけ流し浴槽の特長で気温や時間により0.5℃〜1.5℃の変動があるそうですが、館内に「温泉温度のご案内」が掲示されていて、とても親切だと思いました。
お風呂は男女別の内風呂と露天風呂があり、内風呂のみ火曜日と木曜日は男女入替え制になります。
男湯(左側内風呂)の脱衣所は天井などの内装がキレイになっていました。
男湯の内風呂には浴槽が5つあり、両端の浴槽が何も手を加えていない100%源泉かけ流しです。この日は36〜37℃位のぬる湯を楽しめました。左から2番目の浴槽が38℃位、3番目の浴槽が源泉と加温した源泉をブレンドし、40℃位の湯温。そして4番目の浴槽が42℃位の湯温でした。
この微妙な湯温の差がたまりません。ぬる湯好きの湯種にとっては、パラダイスです。大きな窓から見えるのは新緑の木々。開放的な雰囲気の中、ぬる湯でジワジワと温まっていくのが心地よく、取材でなければずっと浸かっていたくなります。
湯温の違いを楽しめるだけではなく、ぬる湯気泡浴槽や半身浴ができる浴槽もあります。
一般的には低い湯温から熱い湯温に入るのがおすすめです。ぬる湯に慣れていない方は最初は冷たく感じるかもしれませんが、ゆっくり浸かっていると体がポカポカしてきますので、ぜひトライしてみてください。体の芯から温まり、湯上がり後は汗が止まらないことも。湯冷めしにくいことも特色だと思います。
源泉名は「駒の湯3号泉 奈古谷16号」。やさしい肌ざわりのお湯で泉質はアルカリ性単純温泉です。
湯種愛用のpHメーターで水素イオン指数を測定すれば、8.29の数値を示し、弱アルカリ性のお湯であることがわかりました。入っているときはあまり感じませんでしたが、湯上がり後のスベスベ感が良い感じ。
タイルも張り替えて、キレイになっています。洗い場にはケロリン桶が置いてあり、グレー系のタイルに黄色い桶が良いアクセントになっています。
内湯のみ、火曜日と木曜日は男女入替えになります
女湯(右側内風呂)は浴槽が3つあり、3種類の湯温を楽しむことができます。一番左が一番温度の低い源泉槽、真ん中が源泉槽より1℃位高いぬる湯、右側はあがり湯に適した熱めのお湯(あつ湯)。
火曜日と木曜日は内湯のみ、男女入替え制になりますので、広い浴室でぬる湯を楽しみたい女性の方は要チェック。ただし、繁忙期(年末年始、春休み、夏休み、ゴールデンウィーク、シルバーウィーク、祝日)は入替えを行ないませんので、ご注意ください。
女湯の脱衣所は洗面台を新設し、モダンな雰囲気に。常連さんからは「使いやすくなった」と評判です。
ワイルドな男性用露天風呂でぬる湯を堪能
内湯と露天風呂の場所は離れているので、いったん服を身に着け、露天風呂へ向かいます。露天風呂へは一度廊下に出る必要があるため、裸では行くことができません。
露天風呂入口のドアを開け、階段を下っていきます。露天風呂では石鹸、シャンプーは使えませんので、体を洗ったり、洗髪は内風呂で済ませてから向かいましょう。露天風呂にトイレはありませんので、こちらも先に済ませておくのがベターです。
露天風呂は構造やセキュリティ上の理由から、残念ながら男女の入替えはありません。左側が男性用露天風呂になります。
露天風呂の脱衣所はレトロな雰囲気です。
男性用露天風呂は傾斜に沿って、湯温の異なる4つの浴槽が配置してあります。露天風呂というより、野天風呂という趣きで湯種のお気に入りのお風呂です。一番手前があつ湯(40〜42℃)で、その奥が38〜39℃位のぬる湯。その下に薬草の湯(35〜37℃)、一番下にうたせの湯(34〜35℃)があります。
目の前に広がるのは木立の緑。豊かな自然に抱かれた露天風呂では森林浴もできます。
薬草風呂は日替わりです。この日の薬草風呂は「菊花」。菊花にはさまざまな効能があり、古くから薬用として栽培されていた記録があるそうです。血行促進や保温効果、代謝の促進、腰痛の緩和など、温泉効果と相乗して体への効能が期待できそうですね。
うたせの湯は冬期(12月〜3月)はお休みとなり、今年は4月10日から再開しました。うたせの湯の下には渓流が位置し、川音を楽しみながら湯浴みができます。
一番下のうたせの湯側から撮影してみました。傾斜に沿って露天風呂が配置されているのがおわかりいただけるでしょうか。
露天風呂の柵の外に川が流れているワイルドなロケーションが素敵。また、道路から露天風呂が見えないように目隠しの柵も強化したそうです。
女性用露天風呂は落ち着ける雰囲気
山肌に沿ってつくられた女性用露天風呂にはひょうたんのカタチをした檜風呂、薬草風呂、打たせ湯があり、男性用露天風呂と同様に異なった湯温を楽しめます。
檜風呂の中央に仕切りを設け、左側がぬる湯(38〜39℃)、右側があつ湯(40〜42℃)になっています。
湯上がり後は無料休憩所でリラックス
湯上がり後は冷たい飲み物片手にくつろぎたいもの。「源泉 駒の湯荘」には2か所の無料休憩所を用意しています。
ログハウス風の湯上がり処は自然光が差し込む暖かな雰囲気。自動販売機コーナーはこちらにあります。
湯種は取材の際には必ず自動販売機チェックをします。自動販売機のソフトドリンクは良心的な価格で販売されていて、うれしく思いました。
また、ここには体脂肪計があり、思わず測定してしまう湯種でした。
畳のお休み処はお茶の無料サービスがあり、大型テレビが設置されています。ゆったりとした広間は足を伸ばしてくつろげる雰囲気。畳のある空間はやはりリラックス感が違うと思います。
受付前には冷蔵庫が置いてあり、赤星ラガー瓶ビールや缶ビール、サイダー、コーヒー牛乳などを販売しています。おつまみも購入できます。
取材日はほとんど売切れでしたが、ここでは地元で採れた野菜も販売しています。採れたて新鮮野菜はお土産に良さそうですね。
食事処でランチや源泉コーヒーを楽しむ
食事処ではランチを楽しむことができます。おすすめメニューは産みたての「御殿場のさくらたまご」を使った親子丼(850円)やたまご丼(660円)など。
お米は「御殿場コシヒカリ」または伊豆市下村さんの「減農薬あきたこまち」を使用しています。また、ビーフカレーやうどん、そば、ラーメン、焼きそばなどの麺類も用意しています。
女子会よりも男子会が流行中? 個室休憩のススメ
さらにゆっくりくつろぎたい方は個室利用がおすすめ。現在、10部屋が個室として利用可能です。下の画像のAタイプの個室ですと、2人利用で1室6,400円から。この料金には1日入浴券と浴衣、入湯税が含まれていますから、とてもお得。
最近では男性のグループの利用が増えてきたそうです。ぬる湯を心ゆくまで楽しんだあとは、のんびりと昼寝や宴会をするなど、いろいろ楽しみ方がありそうですね。小さなお子さま連れの方も個室なら気兼ねなく過ごせると思います。個室利用を希望される方は、入館時に受付でお申し込みを。
また、マッサージルームも設けられていました。営業時間は11:00〜18:00(水曜日定休)。お風呂から上がる時間に合わせて、マッサージの予約ができるそうです。予約は受付へ。
川沿いの混浴露天風呂跡地で思い出に浸る
建物から道路を挟んだ川沿いにはもともと混浴露天風呂があり、とても人気でした。敷地内には足湯のほか、めずらしい手湯もあり、湯種も大好きでした。その後、2017年11月にリニューアルオープンしましたが、現在も混浴露天風呂をはじめ、足湯や手湯などのエリアはクローズされ、入れないようになっています。今回は特別に跡地を見学させていただきました。
以前はこの川沿いに混浴露天風呂がありました。
現在はこのような跡地になっています。
湯のない元浴槽の前で佇み、かつての露天風呂に思いを馳せます。
ここは湯種がいつも入っていた定位置。ここで岩を背に横たわり、森林の中、木漏れ日を浴びながらいつまでも浸かっていたものでした。
ふと同じ場所から見上げると,木漏れ日だけは当時のまま。
この川沿いの露天風呂については、「今のところ再開の予定はなし」ということですが、時間をかけてでも何とか再開してほしいと思いました。また、湯だけでなく、ロケーションが良いので、ぜひ宿泊やバーベキュー設備の導入なども検討してほしいと思った湯種でした。
ちなみに昭和47年(1972年)に温泉掘削の調査中に発見されたという「しし岩」は健在です。
ししの顔に似たこの岩はこちらの温泉のシンボル的な存在。岩が見つかった近くを掘削したところ、地下400メートルから良質の源泉が湧出したそうです。しし岩は建物の前の道路沿いにありますので、どなたでもご覧いただけます。
現在、「源泉 駒の湯荘」では、土曜・日曜日は100人位のお客さまが訪れていて、夕方が1番込み合います。常連客も多く訪れていて、湯温が0.5℃違うだけで指摘をいただくこともあるそうです。
また、「温泉&ヨガ」のイベントを開催するなど、新しい試みにもチャレンジしています。せっかく復活したこの「ぬる湯の名湯」を、ぜひ多くの方々に楽しんでいただきたいと思いました。
温泉とヨガを楽しめるイベントを定期的に開催!
「源泉 駒の湯荘」では、温泉とヨガを楽しめるイベントを今年3月に開催し、好評につき定期的な開催が決定しました。温泉で体を温めてからヨガを行なうことで心身がリラックスできるそうです。しかもヘルシーフードの試食付きですから、体が内側からも喜ぶこと間違いないでしょう。日頃たまった疲れをリセットできて、元気になれそうなイベントです。お子さま連れの方は託児も可能ですので、安心してイベントに参加できると思います。
約150メートル離れたところにひっそり源泉地
取材の最後に駒の湯3号泉の源泉地に案内していただきました。建物から150mほど離れたところにひっそり佇んでいて、温泉マニアの血が騒ぎます。
一般の方にはわからないかもしれませんが、温泉マニアの湯種はこうした源泉地を見学するのが大好きです。たとえ源泉が湧出している姿を直接見ることができなくても「ここから湧き出しているのだな」と思うとロマンがあり、とても感慨深いのです。
ここで湧出した源泉は下の写真のパイプを通って「源泉 駒の湯荘」のお風呂に送られています。貴重なものを見学することができ、大満足の湯種でした。
アクセスをチェック! 案内看板に従って目的地へ
この日、「源泉 駒の湯荘」へは長岡温泉街から車を利用し、国道136号線経由で向かいました。案内看板に従って右折し、直進します。
下の写真の「あと500m」看板が見えてきたら、「源泉 駒の湯荘」まではもうすぐです。竹林が続く道を直進すると、右手に建物が見えてきます。
電車での最寄り駅は伊豆箱根鉄道駿豆線の「原木(ばらき)駅」になりますが、無人駅のため、タクシーの利用がし難いようです。そのため、伊豆箱根鉄道駿豆線の「大場駅(だいばえき)」からタクシーを利用すると良いそうです。所要時間は約15分。
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