三楽の宿 さかや 伊豆長岡温泉
※三楽の宿 さかやは2019年3月、廃業しました。
明治36年創業の老舗旅館で絶景露天風呂
車イスで宿泊できるバリアフリー仕様の湯宿
伊豆長岡温泉に位置する「三楽の宿 さかや」は創業115周年を迎えた老舗旅館。伊豆長岡駅から車で8分ほどの距離にあります。
伊豆長岡温泉は中央の源氏山を挟んで西側の長岡地区と東側の古奈地区に分かれます。「三楽の宿 さかや」は長岡地区にあり、宿の創業は明治36年。もともと造り酒屋を営んでいましたが、敷地内で井戸を掘ったところ温泉が出て宿泊施設を始めたそうです。
その源泉は初代の愛妻の名前をとって「菊号(菊の湯)」と名付けられ、現在も活用されています。
8階建ての建物はバリアフリー仕様になっており、人に優しい宿として「シルバースター」を取得しています。
「シルバースター」とは、厚生労働省の協力を受けて全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)が「高齢者が快適に過ごせる、すべての人に優しい」宿泊施設の整備と増加を目的に、平成5年より推進している制度。シルバースターの宿には設備・サービス・料理面で一定の基準を満たす宿が登録されています。
広々としたロビーは風格があり、レトロ感のあるインテリアが古き良き時代を感じさせてくれます。
服飾雑貨やお土産を扱う売店も広く、スタッフおすすめの品々が揃えられています。
ロビーの一角にはさかや弁財天が祀られ、おみくじもひくことができます。
長岡温泉の歴史とともに歩んできた宿
フロント横のエレベーター前には古い伊豆長岡温泉の資料や写真が展示されていました。
その中の旅館案内にはしっかり「酒屋(さかや)」の文字が。絵地図には今も続く現役の旅館だけでなく、閉館してしまった宿もあり、感慨深いものがあります。
長岡地区の開湯は明治時代。明治40年以降、有城温泉や多聞温泉、田端温泉などの掘削が進み、これらを総称して長岡温泉と呼ぶようになったそうです。「三楽の宿 さかや」周辺は、かつては田端温泉と呼ばれており、明治36年創業のさかやはこのエリアでは随一の歴史ある旅館だそうです。
その後、長岡温泉は昭和に入ってから鎌倉時代に開湯した古奈温泉と併合し、伊豆長岡温泉と言う総称になりました。
熱めの湯とぬるめの湯が楽しめ、
富士山が見える絶景温泉
昔から続いている温泉宿の存在のありがたさを感じながら、8階の大浴場へ。男女別の大浴場にはそれぞれ熱めの湯とぬるめの湯、サウナ・水風呂が楽しめる内湯と露天風呂があります。
取材当日は夏のような気候で浴室にいるだけでも汗が流れるほど。露天風呂に出ると涼しい風が吹いていて、とても心地よく感じました。
露天風呂はなかなかの絶景で、目の前に広がるのは伊豆長岡温泉の市街、遠くに山が見えます。富士山も見えるロケーションなのですが、この日は見ることができなくて残念でした。
ここからは日の出や夕焼けに染まる富士山、夏の夜には富士山登山者の灯りが見えるそうです。
泉質はアルカリ性単純泉。アルカリ度が高く、ヌルつきのあるお湯です。刺激が少なく、赤ちゃんから高齢の方までやさしく包み込む美肌の湯として親しまれてきました。
源泉の温度は60℃位ですが、「三楽の宿 さかや」では加水をせずに少量ずつお湯を入れて温度調整を行ない、100%の源泉をそのまま利用しているそうです。季節により源泉の温度が異なることもあり、加水をしないで温度調整をするためには日々の管理が大変だと思いますが、お湯へのこだわりを強く感じました。
内湯には熱めの湯とぬるめの湯の湯船が備えられ、2種類の温度が楽しめるところも良いですね。
大浴場は一晩中入ることができ、夜中はお湯をきれいに維持する循環ろ過装置を止めるので完全なかけ流しになるそうです。
内湯にはサウナも水風呂もあります。高温の乾式サウナでたっぷり汗をかいたあとは水風呂へ。そのあとに露天風呂で外気浴もおすすめです。飲酒後の危険防止のためサウナは夜の20時までですので、夕食前に楽しむのが良さそうですね。
内湯の壁はレンガのタイルで統一され、落ち着いた雰囲気です。
脱衣所には脱衣籠と貴重品保管用の鍵式ロッカーを用意しています。
「女性専用大浴場 あやめの湯」は基本的に源氏の湯とお風呂の種類は同じですが、違いは内湯の湯船が一つ多いことです。ここでは3種類の温度のお風呂を楽しむことができます。
熱めの湯の湯船は2つ用意され、2種類の温度を楽しめます。
こちらはぬるめの湯を楽しめる湯船です。
女湯にもサウナと水風呂があります。
女湯の露天風呂も、もちろん絶景温泉。開放的で気持ちいいですよ〜。
湯上り処も絶景、卓球も楽しめる!
湯上り処には冷水やソファーを用意。ここからは長岡温泉の市街や葛城山を見渡すことができます。
また、大浴場付近の廊下にはマッサージ機や卓球台を用意。卓球といえば温泉地の定番ですね。卓球は年齢に関係なく楽しめるので盛り上がると思います。料金は1時間1,000円。フロントで卓球の球とラケットをレンタルできます。
車イスで利用できるバリアフリー貸切風呂
「三楽の宿 さかや」には貸切家族風呂が2つあり、そのうち「気楽(きらく)」は車イス利用者の方がスムーズに入浴できる設計になっています。
貸切家族風呂へは一旦玄関を出て、下の写真のようなスロープを進んで行きます。
浴室には濡れても大丈夫な専用の車イスが用意されています。車イスから浴槽にスムーズに移動できるスロープも設置されているので、安心して利用することができます。
バリアフリーの貸切風呂をつくろうと思ったのは「大浴場は男女別のため、たとえば奥さんが車イスを使用していて、ご主人が介助者の場合は一緒に入ることができない」という問題をクリアしたかったからだそうです。こんなお風呂なら家族一緒に伊豆長岡温泉を楽しむことができ、うれしいですよね。
また、もう一つの貸切家族風呂「楽天」は露天風呂仕様になっており、定員は2人まで。ご夫婦やカップルに人気です。
どちらも無料で利用することができ、利用時間は15時〜21時で1回30分。チェックイン時に予約を受付けているそうです。
客室は和室を中心に全室二間続き
車イスの方には和洋室がおすすめ
「三楽の宿 さかや」の客室は和室を中心に全39室。全室2間続きのため、ゆったり過ごすことができます。片方の部屋に布団が敷かれているのは、チェックイン後、すぐに寝転がれるようにという配慮からだそうです。
和室6畳+6畳の客室(バス・トイレ付き)はリーズナブルな料金で宿泊することができるので、おすすめです。
車イスの方など、ベッドを利用したいという方には和洋室を4室用意しています。10畳の和室と大きめのベッドルームを備えた洋室という間取りでバス・トイレ付き。客室の内風呂は館内で一番大きく、使いやすい造りになっています。
和室にはイスとテーブルが置かれていました。布団も敷かれ、チェックイン後に仮眠をとったりするのにも良さそうです。
また、客室入口の段差を緩和するための配慮がされていますので、車イスの方も安心ですね。
食事は「部屋食」で伊豆の味覚を楽しめます
また、「三楽の湯 さかや」では部屋食にこだわっており、食事は上げ膳・据え膳のスタイルですので、他人に気兼ねすることなくのんびりできます。沼津港まで車で20分という距離にあるため、新鮮な魚介類を楽しむことができ、さまざまな食事プランを用意しています。
たとえば、おすすめの「創業115周年記念特別プランで」は、舟盛&ズワイガニ&アワビ踊り焼付で11,500円~(税別)。人気の海鮮焼きDXプランでは伊勢海老&アワビ踊り焼き付き。また、若旦那が京都の料亭で惚れ込んだという料亭特選黒毛和牛ステーキが楽しめるプランもあります。
「三楽の宿 さかや」のモットーは「風呂よし」「酒よし」「眺めよし」という3つの楽しみをお客さまに提供すること。湯遣いの良い絶景温泉を楽しめる老舗旅館で二間続きの客室でのんびり過ごすことができ、しかも食事は部屋食。さらにリーズナブルな料金で宿泊することができます。さかやの公式ホームページの漫画による案内もわかりやすいですので、ぜひチェックしてみてください。
アクセスをチェック!
50台収容の駐車場があります
「三楽の宿 さかや」のお客さまは団体・個人の割合が半々だそうです。いつも取材をしていて井伊湯種が気になるのは、宿の駐車場の収容台数。趣味の集まりの忘年会の幹事をしている湯種は車が50台位駐車できる宿を探して苦労することが多いのですが、「三楽の宿 さかや」は50台駐車が可能です。駐車場は少しわかりにくいかもしれませんが、玄関正面から道を渡り、細い通路を通った先にあります。下の写真の「さかやの駐車場案内看板」を目印にしてみてください。
アクセスは車利用の場合、東名高速沼津ICまたは新東名高速長泉沼津ICから伊豆縦貫道→伊豆中央道経由で約20分。
電車利用の方は伊豆長岡駅からタクシーで約8分。バス利用の方は伊豆長岡駅前から沼津行きまたは三津シーパラダイス行きに乗り、「分譲地前」バス停下車徒歩2分ほどです。また、温泉場循環バスもあります。
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