伊豆長岡温泉 南山荘
※2016年4月1日より休業中
創業から100年の歴史、レトロな館内で長岡温泉を楽しむ
長岡温泉のルーツの湯宿で古き良き時代にタイムスリップ!
伊豆長岡の南山荘は、私、井伊湯種お気に入りの湯宿の一つ。これまで友人とともに何回か訪れています。南山荘ではその広大な敷地に圧倒されます。その規模、なんと8000坪! 源氏山に沿って客室が建ち、その眺めは圧巻です。
南山荘の創業は明治40年(1907年)。長岡温泉を開湯したと言われる大和宇平氏によって創業されたそうです。北原白秋ゆかりの宿としても知られ、政治家をはじめ、各界の著名人が多く訪れました。
時代は流れ、今は素泊まりを中心とした宿として営業しています(朝食ブッフェの選択も可能)。数寄屋造りを基本とした建物は100年を経ていて年季が入っており、客室をはじめ、廊下、階段など、随所に当時の建築美を見ることができます。障子や天井など、細かなところまで職人の技が施されていますので、古い日本建築が好きな方にはたまらないでしょう。
広大な敷地の中に客室はたった33室だけ。本館客室11室と離れ風客室22室があり、離れ風客室にはそれぞれが違った間取りで意匠が凝らされています。離れ客室専用の玄関もあり、当時の面影を残し、風情を感じます。
右下の画像は離れ風客室「せきれい」。窓からは山の緑が見え、静かに過ごせます。 素泊まり中心でセルフサービスですが、食事については近所に飲食店などがたくさんあり、近隣のお店をフロントで紹介してくれます。また、部屋からお寿司などの出前を取ることもできます。
なお朝は、ゴールデンウィーク明けより始めた「一汁三菜」を基本とした野菜中心の朝食ブッフェを500円で利用できます。また、昼食・夕食用にお弁当を2,000円で頼むこともできるそうです。いずれも予約時にご確認ください。
趣向を凝らした3つのお風呂で楽しむ美肌の湯
南山荘には、「石風呂」、「富士見風呂」、「露天風呂」という3つのお風呂があり、日帰り入浴も可能です。伊豆の温泉に魅せられた作家、川端康成は著書の「伊豆温泉記」の中で、長岡温泉について“伊豆の温泉で一番肌によい”と記しており、大正期に南山荘にも何度か逗留したそうです。
3つのお風呂は離れ風客室のエリアにあり、曲がりくねった階段と回廊を歩いてたどりつきます。エレベーターがありませんので、ちょっとした運動になるかもしれません。
石風呂は四国の名石“青石”をふんだんに使っており、男女別の浴槽があります。お湯は無色透明ですが、肌触りはヌルっとしていて良い感じ。泉質は単純温泉ですが、pHは8.9近くあり、アルカリ性が高い美肌の湯とも言えます。源泉温度は69度あり、敷地内に2ヶ所の源泉があるそうです。
3つの浴槽のうち、ここが1番トロリとして、若干薬膳臭も感じました。循環併用ですが、絶えず新しい源泉が投入されています。
こちらは石風呂の女湯です。男湯よりも広めですね。
男女交代制の「富士見風呂」は、その名の通り、天気の良い日には富士山を眺めることができます。取材時は残念ながらその姿を拝むことができませんでした。ご主人によれば、特に空気の澄んだ、冬場には良く見えるそうです。次の機会を楽しみにしたいと思います。富士山の眺望がなくても広々とした浴槽はたいへん気持ちが良く、お湯は41℃くらい。湯種、大満足です。宿泊者に限り、平日限定で貸切風呂としても利用できるそうですので、詳しくはお問い合わせください。
温泉マニアとしては、やはり露天風呂ははずせません。南山荘の露天風呂(男女交代制)は山肌にそって造られており、野趣満点。お湯は温めでゆっくり入っていられます。山の木立の中に湯口があり、そこから源泉が投入されています。
お風呂に浸かりながら、その流れをのんびり見ているのも良いものです。広々とした露天風呂で日頃のストレスから解放されていくのを感じる、湯種でした。
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