Hostel Knot(ホステル ノット)

伊豆の“結び目”で出会う旅宿「Hostel Knot(ホステルノット)」
温泉マニア必見! 知る人ぞ知る修善寺のジモ泉へ

伊豆の旅の拠点に。温泉街と人をつなぐ古民家ゲストハウス

修善寺にある「Hostel Knot(ホステルノット)」は、古民家を改装したドミトリー形式のゲストハウスです。修善寺は東京から電車や車で約2時間とアクセスが良く、“伊豆の小京都”とも称される温泉地。歴史ある修禅寺や情緒あふれる「竹林の小径」、さらに日帰り温泉や無料の足湯スポットも徒歩圏内にあり、昼夜を問わず散策を楽しむことができます。

「Hostel Knot(ホステルノット)」はリーズナブルに泊まれるため、日本人はもちろん外国人観光客からも人気があります。特筆すべきは、すぐ目の前にある「真湯共同浴場」を無料で利用できる点です。本来は地元の会員専用で一般には開放されていない、いわゆる“ジモ泉(地元の会員専用の温泉)”。宿泊者は特別に利用できる仕組みで、温泉ファンの間でも話題を集めています。

それでは、「Hostel Knot(ホステルノット)」と「真湯共同浴場」の魅力をご紹介していきましょう。

「Hostel Knot(ホステルノット)」の外観

「Hostel Knot(ホステルノット)」の外観

入り口に掲示された宿泊料金の案内看板

入り口に掲示された宿泊料金の案内看板

入ってすぐのコモンスペース(共有スペース)の様子

入ってすぐのコモンスペース(共有スペース)の様子

受付カウンター

受付カウンター

宿泊者が入れる特別な“ジモ泉”へ
地元会員専用の湯を体験できる貴重な機会

まずは「真湯共同浴場」のご紹介から。

修善寺温泉といえば、古くから伊豆を代表する名湯として知られています。修禅寺の境内に湧き出した「独鈷の湯(とっこのゆ)」を源泉とし、弘法大師が発見したと伝えられる歴史ある温泉です。泉質はアルカリ性単純温泉で、肌にやさしく「美肌の湯」として多くの人に親しまれています。

この「真湯共同浴場」は、建物の裏口から通りを挟んで向かいにある会員制の共同浴場です。
2024年6月からは、「Hostel Knot(ホステルノット)」に宿泊した方も利用できるようになりました。

オーナーの山本さんによれば、「真湯共同浴場に浸かりたくて宿泊する方も少なくない」とのこと。地図アプリで検索しても出てこない秘密の温泉に、宿泊すると入れる特別な体験です。
特定の宿に泊まれば誰でもジモ泉に浸かれる、という例は全国でもあまり多くないため、温泉マニアの間では大きな話題となった場所です。ジモ泉は、会員の親戚や知人が会員に同行すれば特別に入浴できることもありますが、なかなかハードルが高いもの。簡単に入れないからこそ、ぜひ浸かりたいという温泉マニアの方も多いのではないでしょうか。

浴場の利用時間は17:00〜23:00まで。「Hostel Knot(ホステルノット)」のスタッフや地元の方が交代で清掃を行い、しっかり管理されているため館内はとても清潔で、設備はシンプルですが湯遣いの良さには定評があります。

真湯共同浴場

写真左手に見えるのが「真湯共同浴場」。公民館のような素朴な佇まいです

「真湯共同浴場」の入り口

「真湯共同浴場」の入り口

暖簾

ワクワクするような、オシャレな暖簾が出迎えてくれます

男湯の脱衣所

男湯の脱衣所

男湯の浴槽

男湯の浴槽

ジモ泉は、ご縁がなければ決して入ることはできないため、温泉ファンにはたまらない存在です。

温泉分析書によると泉温は72.5℃。源泉が高温のため加水は必要ですが、循環ろ過や塩素消毒を行っていない純粋な源泉かけ流しです。泉質はアルカリ性単純温泉(低張性・アルカリ性・高温泉)。湯は透明度が高く、ツルツルとした浴感で鮮度の良さを感じました。利用者からは「まとわりつくような湯で、湯冷めしにくい」という声もあるとのこと。

ジモ泉を堪能する井伊湯種(いいゆだね)

一緒に取材に訪れた同僚とジモ泉を堪能する井伊湯種(いいゆだね)

石灰化した湯口

石灰化した湯口。右奥の赤いレバーをひねると、ここから高温の源泉が投入されます

男湯の洗い場

男湯の洗い場。シャワーやカランはなく、浴槽の湯を汲み出して流すところがジモ泉らしいですね

pH(実測)

pH(実測)は8.61のアルカリ性

温泉分析書

温泉分析書

宿泊者専用のシャンプー、コンディショナー、ボディソープ

「Hostel Knot(ホステルノット)」宿泊者専用のシャンプー、コンディショナー、ボディソープが浴場内に備え付けられています

浴場内の注意書き

浴場内の注意書き。ルールを守って気持ちよく利用しましょう

英語での利用案内

「Hostel Knot(ホステルノット)」の宿泊者の中には外国人の方も多いため、英語での利用案内も掲示されています

女湯の浴槽

女湯は脱衣所を含め、男湯と左右対称の造りになっています

築70年の古民家を仲間と共にリノベーション
伊豆の結び目を目指したゲストハウスです

「Hostel Knot(ホステルノット)」が誕生したのは2018年6月。伊豆のハブ地点(結び目=Knot)でもある修善寺に、気軽に利用できるゲストハウスをつくり、伊豆をもっと楽しんでもらいたいという代表・山本さんの強い思いから生まれました。

静岡県三島市出身の山本さんは、大学卒業後にフィジー、ニュージーランドを経てイギリスに留学。そのとき初めてゲストハウスに宿泊し、「帰国後は自分もゲストハウスを開業したい」と考えたそうです。伊豆を海外の友人に勧めても「気軽には行きにくい」という声が多かったため、「ならば拠点をつくり、そこから各地を巡ってもらいたい」と思い立ったのがきっかけでした。修善寺には縁がありませんでしたが、手づくりの名刺を持って地域の方々に直接会いに行き、いくつかのご縁を経て現在の場所にたどり着いたといいます。

築70年ほどの古民家を、約1年間かけて仲間やクラウドファンディングを通じて出会った支援者とともに改装。80人もの人々が関わり、伝統の温かみを残した外観と現代的な快適さを兼ね備えたゲストハウスが完成しました。国内外の旅人、バックパッカー、リモートワーカー、長期滞在者など、さまざまな旅スタイルの人々を迎え入れる場所となり、日本人スタッフに加えて海外からのボランティアや外国人スタッフも働いています。そのため宿泊者同士だけでなくスタッフとも国際的な交流が生まれ、ベジタリアンやビーガンの食事情など多様な情報を得られるのも魅力のひとつです。

また「真湯共同浴場」も本来は地元の会員のみが利用する施設でしたが、山本さんの行動力と地域への思いが認められ、「ぜひ宿泊者に利用してもらって」と声をかけていただけたそうです。地元イベントや町内清掃などにも積極的に参加し、地域を盛り上げてきたからこそ築けた信頼関係が、この特別な連携につながっています。

客室への階段

客室はすべて2階に設けられています

漆喰の壁

DIYで塗られた漆喰の壁。指で模様をつけたそうで、温かみのある雰囲気です

客室はドミトリータイプから個室まで用意され、旅のスタイルや人数に応じて選べます。ドミトリーは二段ベッド形式で、全ベッドにUSB差込口付きのコンセントと貴重品入れ用の小型ロッカーを完備。これらもDIYでつくられており、その工夫と手づくり感には驚かされます。

男女混合ドミトリー

男女混合ドミトリー(8名まで)

男女混合ドミトリーのベッドの様子

男女混合ドミトリーのベッドの様子

女性専用の部屋もあり、木の温かみを感じる落ち着いた色合いでまとめられた6人用ドミトリーです。化粧台のほか、鏡やヘアアイロンも用意されており、女性にうれしい設備が整っています。

女性専用ドミトリー

女性専用ドミトリー(6名まで)

女性専用ドミトリーのベッドの様子

女性専用ドミトリーのベッドの様子

個室はカップルや家族連れに人気で、落ち着いた雰囲気の中でゆったりと過ごせます。お子さまの利用も可能で、親子連れや友人同士での滞在にも最適です。

和風ツイン

和風ツイン(1~2名用)

共有キッチンには、調理家電や冷蔵庫、IHコンロ、調理器具、調味料などがそろい、コーヒーやお茶などのフリードリンクも備えられています。長期滞在にも適した設備が整っているのも魅力のひとつです。

共有キッチンの様子

共有キッチンの様子

共有キッチンの様子

炊飯器や電気ポットなどの調理家電も備えています

共有キッチンの様子

徒歩10分圏内には魚屋や八百屋、惣菜屋があり、伊豆ならではの食材を使って料理を楽しめます

荷物を置けるスペース

キャリーケースなど大きな荷物を置けるスペースも確保されています

ワークスペース

2階のワークスペース。読書や仕事をするのに最適です

結び目ノート

「結び目ノート」には訪れた人々の感想が綴られています

お手洗いの様子

お手洗いの様子

洗面台の様子

洗面台の様子

洗濯機と乾燥機

洗濯機と乾燥機も備えています

ゲストハウス内のお風呂

共同浴場に抵抗がある方は、ゲストハウス内のお風呂も利用できます

コモンスペース(共有エリア)には、修善寺や伊豆の観光情報が集められており、スタッフ手づくりの近隣飲食店情報も用意されています。ボードゲームもそろっているので、ここで出会った方と会話を楽しんだり、一緒に遊んだりして交流することもできます。

リビングスペースには大きなスクリーンとプロジェクター、スピーカーが設置されており、映画鑑賞やセミナー、イベントにも活用可能。宿泊者同士が自然に交流できる雰囲気が生まれています。

コモンスペース(共有エリア)

まるで友人の家に遊びに来たような温かみのあるコモンスペース(共有エリア)

甚平の貸出しサービス

外国人ゲストにも喜ばれる甚平の貸出しサービス

バスタオル貸出

バスタオルは有料で貸出しも行っています

コモンスペース(共有エリア)

観光情報も豊富にそろっています。写真左の伊豆半島の地図はスタッフが手づくりしたとのこと

スクリーンとスピーカー

80インチのスクリーンとスピーカーもあります

屋上テラスは、日常的には洗濯物を干すスペースとして使うこともできますが、修善寺で開催される花火大会の日には絶好の観覧席となります。すぐ近くから打ち上がる花火を目の前で楽しめる贅沢なひとときは、ここに泊まるからこそ体験できる特別な時間です。

屋上テラスの様子

屋上テラスの様子

看板

看板に書かれた温かみのある言葉。思わず修善寺が好きになりそうです

人と人をつなぐ、伊豆の“結び目”
ゲストハウスデビューにもおすすめの宿です

「Hostel Knot(ホステルノット)」には、初めてゲストハウスを利用される方や、初めて一人旅をする方が来られることも多いそうです。中には10連泊し、ここを起点に伊豆全体を巡る方もいるとのこと。ゲストハウスデビューに利用してみてもいいかもしれません。

また、スタッフに相談すれば、朝食や昼食、夕食にぴったりな飲食店を紹介してもらったり、おすすめスポットや時刻表を含めた観光プランを提案してもらったりすることもできるそうですよ。

「荷物を置いたあと、足湯に入ったり、修禅寺を参拝したり。そのあと温泉に浸かって、竹林の小径のライトアップを見に行ったり。地元の方も多いので、飲食店に行って“Hostel Knotに泊まっています”と話せば、そこから会話が広がり、地元の方との交流も楽しめるんですよ。ですから、ひとりで来て、ひとりで飲食店に行っても全然寂しくない。修善寺はそんな場所です」と代表の山本さんは話してくれました。
今後も修善寺や伊豆を盛り上げる企画をしていきたいと考えているそうなので、今後の発展が楽しみですね。

温泉街の散策や地元文化の体験を通して、訪れる人に「修善寺らしい時間」を提供してくれる「Hostel Knot(ホステルノット)」。日常を少し離れ、旅ならではの出会いや、ここでしか味わえない“ジモ泉”を体験したい方にぴったりの宿です。

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  • Hostel Knot(ホステル ノット)
  • 住所

    静岡県伊豆市修善寺985−1

    電話

    0558-78-0261

    営業時間

    10:00〜18:00(電話対応)

    宿泊料金の目安(税込)

    1棟貸切(16名まで)63,000円〜
    ドミトリー(女性専用も有り)3,700円〜
    和風個室 5,580円〜
    ※時期により変動します

    バスタオル150円、歯ブラシ100円、ランドリー(洗濯・乾燥・洗剤)300円
    宿泊者にはフェイスタオルの無料貸出しあり

    泉質

    アルカリ性単純温泉(低張性・アルカリ性・高温泉)
    ※真湯共同浴場

    アクセス

    (電車・バス利用)
    JR東海道新幹線で東京駅から三島駅まで約50分、
    伊豆箱根鉄道駿豆線で三島駅から修善寺駅まで約35分、
    修善寺駅からバスで約7分、修善寺温泉バス停下車、徒歩約5分


    (マイカー利用)
    新東名高速道路の長泉沼津I.Cから伊豆縦貫自動車道を経由して約40分

    駐車場

    4台(有料500円/1日)

    HP

    https://hostelknot.com/

    Wi-Fi

    全館で利用可能

    取材時

    2025年7月