用宗みなと温泉
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用宗漁港の雰囲気を感じながら
富士山とともに楽しむ温泉施設
“月イチで行けるリゾート”と言われる用宗
近年、注目を浴びているエリアです!
静岡市駿河区の「用宗みなと温泉」は、漁港の中という珍しいロケーションにある温泉施設です。目の前には穏やかな駿河湾が広がり、天気の良い日には漁港の向こうに富士山を望むことができます。静岡ICから車で約10分、焼津ICからは車で約15分と、アクセスも良好です。このエリアは、しらす漁で有名な用宗漁港を中心に、近年、数多くのお店が次々とオープンし、“月イチで行けるリゾート”として注目を集めています。
今回ご紹介する「用宗みなと温泉」をはじめ、クラフトビール醸造所、ジェラート店やカフェなどの飲食店、宿泊施設などがあり、近隣エリアはもちろん、SNSを通じて外国人観光客からも注目を集める場所に。東京から関西エリアに移動する中間地点として、用宗に立ち寄る外国人が最近、増えてきているようです。
2018年12月にオープンした「用宗みなと温泉」は、漁港の中という立地ながら、おしゃれで近代的な温泉施設です。井伊湯種(いいゆだね)の友人からも「すごく居心地のいいところだよ」と評価の高い温泉。特に露天風呂からの富士山の眺望が見事で、リピーターになっている友人もいるほどです。
この「用宗みなと温泉」がオープンしたのは、2018年12月のこと。もともとマグロの加工施設だった建物をリノベーションして造られました。この「用宗みなと温泉」の北側にある建物は、陸上げしたマグロの冷凍保管倉庫で、そこからマグロを裁断加工所に運び、加工して出荷していた施設でした。
建物の躯体はそのまま、屋根も再利用されています。知らなければ、当時の面影はまったく感じられませんが、露天風呂で天井を見上げると、当時の構造の一部がそのまま見えるようになっていて、その名残を感じることができます。屋根の一部はそのまま市場へと繋がっており、今でも使われているそうです。
案内してくれた「用宗みなと温泉」のスタッフの方の話によると、用宗漁港はかつて、マグロやカツオの水揚げでにぎわっていましたが、漁船が大型化していくのに対して、対応できる近現代的な水揚設備がなかったことから、しらす漁が盛んな港へと変化していったとのこと。そうした港の変遷の中で、「地域の資源を活かした観光名所を」との思いから温泉施設の構想がスタート。複数の場所で地質調査を行った結果、偶然にも元加工所の敷地内から温泉が湧くことがわかり、現在の施設が誕生しました。
それでは、「用宗みなと温泉」についてご紹介していきましょう。
露天風呂のみ天然温泉を使用
弱アルカリ性の美肌の湯を堪能
それでは、いざ温泉へ!「用宗みなと温泉」の一番の魅力は、何といっても露天風呂から望む富士山の絶景と、肌にやさしい天然温泉です。
露天風呂には敷地内の地下約1,000mからくみ上げている天然温泉を使用しており、泉質はナトリウム・カルシウム―塩化物温泉。源泉の温度が約26.9℃とやや低めなので、入浴に適した温度に加温しています。弱アルカリ性のやわらかな湯は「美肌の湯」とも呼ばれ、古い角質をきれいに取り除いてくれるクレンジング効果が期待できます。肌をやさしく包み込み、入浴後はしっとりすべすべの肌触り。冷え性のほか、殺菌作用が期待できることから切り傷、ねんざなどにも効果的といわれ、体の芯から温まります。
地域の方々にも親しまれており、常連のお客さまの中には、週に何度も通う方もいて、回数券を利用して銭湯のような感覚で楽しまれているそうです。
内湯では、静岡の安倍川水系の地下水を沸かして使用しています。この地下水はとても水質が良いことから、併設するクラフトビール醸造所「West Coast Brewing」でも使われているとのこと。サウナ後のクールダウンには、水温15℃に保たれた水風呂を。サウナ後の火照った体をクールダウンするのに、井伊湯種は冷たすぎる水風呂は苦手なので、このくらいの温度がちょうどいいですね。
入浴のおすすめ時間帯は、朝イチか夕暮れ。特に冬の夕暮れは美しく、寒い季節は空気が澄んでいるため、富士山がよく見えるそうです。夕方には、赤く染まる富士山が見られることもあるのだとか。
月に1回、内湯にイベント湯が登場。取材に訪れた日はちょうどイベント湯の日で、リラクゼーションメーカーとのコラボでキウイのフレーバーがベースのお湯になっていました。
最近ではスーパー銭湯などでも見かける「人工炭酸泉」ですが、こちらの内湯にあるものは特に泡付きが良く、湯に浸かるとすぐに体じゅうが泡に包まれます。1,000ppm以上の濃度があるいわゆる「高濃度炭酸泉」でも、こんなに早く泡が付くのは珍しく、これもこの施設の人気の理由の一つになっているのだと思います。

「人工炭酸泉」を堪能する湯種

「人工炭酸泉」に浸かると、すぐ体中に気泡がつきます

この日は富士山がよく見えました

富士山をのぞく井伊湯種
火曜・木曜は“サウナの日”として、設定温度が通常とは異なる特別仕様になっています。
続いて、女湯をご紹介しましょう。
女湯と男湯は基本的に同じ造りで、左右が反転したような配置になっています。
入浴中の姿が外から見えないよう配慮された「富士見小屋」は、女湯のみに設置されています。視線を遮る半個室のような造りで、まるで洞窟に入るような感覚を楽しめるユニークな仕掛けです。少しかがむようにして小屋の中に入ると、正面には富士山を望む小さな開口があり、そこから富士の姿を眺めることができます。
以前は男湯にも設置されていましたが、「不要」というお客さまの声を受け撤去し、現在は女湯のみに残されているそうです。
こちらのサウナでは、定期的に木材の張り替えが行われています。サウナに使われる木材は、繰り返し使用するうちに汗や湿気の影響で徐々に劣化していくため、数年に一度の頻度で板の交換を実施しているとのことです。
女湯は、取材の1週間ほど前にヒノキ材に張り替えられたばかりで、サウナ室には新しい木の香りが漂っていました。ちなみに男性側は劣化が早いため、交換の頻度も高めになっているそうです。
「サーモンしらす丼」「酸辣フォー」など
漁港ご飯からエスニックまで楽しめる食堂
お風呂の後は、温泉グルメを。「用宗みなと温泉」館内には「アオサギ食堂」が併設されており、カレーやうどん、ラーメンといった定番のメニューに加え、「アジフライ定食」「はんぺんフライ定食」といった漁港ならではの定食も楽しめます。ちなみに井伊湯種はここに行くと、漁港なのになぜか「唐揚げ定食」をよく食べていますが、これもかなりおすすめです。
天気がよければ、テラスで海風を感じながら食事をするのもいいですね。温泉には入らず、食堂だけ利用することもできます。
「サーモンしらす丼」は、「しらすと一緒にサーモンをのせた丼が食べたい」というお客さまの声から生まれた一品。ありそうで意外と見かけない組合せを楽しめます。
「鶏肉のフォー」「酸辣フォー」は、お風呂上がりにさっぱりとしたエスニック料理を楽しめるよう開発されたメニューで、特に女性のお客さまに人気があるそうです。
しらす漁で有名な用宗漁港の中の食堂なので、テラス席で漁港の風景を眺めながらしらすをいただくのもいいですね。
館内売店「ワックワック売店」では、おしゃれなパッケージのお土産がたくさん。「用宗みなと温泉」オリジナルデザインのグッズもいろいろ置いてあります。

「12分だヨ!水風呂集合」のユニークな文字が描かれた、限定カスタムサウナハット。こちらのスタッフさんがデザインされたそうです。
ラウンジでは、ビールを醸造する様子をガラス越しに見ることができるようになっています。以前は、同じ屋根の下でビールをいただくことができましたが、今は道路を挟んで反対側の施設でビールを提供しているそうです。温泉のあと、クラフトビールを飲んで帰るのもいいですし、車で来たのであれば缶ビールの販売もあるそうなので、買って帰って家で楽しみたいですね。
「用宗みなと温泉」は、静岡市の「自転車サポーター認定証」を取得しており、自転車の駅としても登録されています。施設内には、自転車利用者にうれしいさまざまなサポートが用意されており、空気入れの貸し出しをはじめ、トイレや休憩スペースの利用が可能です。
さらに、地域マップや給水サービスのほか、AEDや救急セットも完備されており、サイクリングの途中に立ち寄って、ひと息ついたり体調を整えたりする場所としても、安心して利用できます。
静岡市のシェアサイクル事業「PULCLE(パルクル)」は、市内各所に設置されたサイクルポートで自転車の貸し出しを行っています。15分100円(税込)、12時間上限1,500円(税込)と手頃な料金で、観光やちょっとした移動にも便利です。温泉の行き帰りに海沿いを走ったり、周辺のカフェや漁港を巡ったりと、自転車ならではの楽しみ方が広がります。
地域密着の温泉施設
温泉と一緒に近隣エリアを回りながら楽しみたい
古き良き漁港の風景を残しつつ、現代的で洗練された空間の「用宗みなと温泉」。平日の午前中には、8〜9割が地元の常連さんという、地域密着型の温泉施設です。スタッフの多くも用宗出身で、フロントでは顔なじみのお客さまと世間話を楽しむ様子も見られました。おしゃれな空間でありながら、温かみのある接客が魅力です。
飲食店がたくさんあり、海水浴場もある用宗エリア。みなさんも「用宗みなと温泉」を拠点に用宗のまち歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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