倉真赤石温泉 静岡県掛川市
掛川市北部の秘境にあるマニアックな日帰り温泉
温泉マニアにはたまらない良泉! 屋上の源泉槽に大興奮
静岡県掛川市北部の山奥にある倉真赤石温泉(くらみあかいしおんせん)を訪ねました。この温泉を知ったのは湯友の湯達入郎(ゆったりはいろう)氏のブログ記事でした。その後、ネットでさらに調べましたが、マニアックな雰囲気で期待が高まります。
この日は倉真温泉(くらみおんせん)から車で向かいました。道がわかりにくく、途中で不安になった頃に「倉真赤石温泉」の案内看板が見えた時はホッとしました。この看板に従って細い林道を登って行きます。
倉真赤石温泉は個人所有の山の中にあり、急斜面に沿って建てられた日帰り温泉です。
倉真赤石温泉に到着すると、80歳になるという陽気なご主人が迎えてくれました。
玄関の左側に受付があり、料金を支払います。
受付の奥には男女別の浴室があります。
浴室には3人ぐらい入れる源泉かけ流しの浴槽が一つ。源泉の温度が18℃位のため、ボイラーで加温して適温にしています。温めのお湯はうっすらと白濁しており、湯船の中には湯の花が大量に舞っていて、井伊湯種(いいゆだね)好み。
泉質は単純硫黄冷鉱泉。アルカリ度の高いお湯はぬるっとした感触です。窓からは山々の景色が楽しめ、絶景です。難を言えば、湯船が浅めなことぐらいでしょうか。
ご主人がこの温泉を始めたのは30年位前。40代の時に仕事に活かすため、滝のある9,000坪の土地を購入したそうです。その後、敷地内に長い間放置されていた観音様を発見し祀ったところ、夢のお告げを受け、温泉を堀削。地下700メートルで温泉が出たとのこと。建物の屋上からは木立越しに源泉湧出地が見え、カタカタというボイラーの音が聞こえてきます。
内湯をじっくり楽しんだあとは、湯達入郎氏がレポートしていた、屋上の源泉槽に案内していただきました。屋上には玄関を出て外階段をのぼっていきます。
広々とした屋上にはビニールで覆われたドーム状の謎の物体がありました。下の隙間からのぞいて見ると、そこには湯船が複数置かれていて、どうやら天候が悪いときや女性はこちらの源泉槽に入るようです。手作り感が満載でワクワクしました。
湯種用には屋上の傍らにむき出しで置かれたポリバスに直接ホースで源泉を注いでいきます。加温する前の源泉の色はうっすらとしたグリーン。そのときの状況や時間によってグリーン、ブルー、ピンク、白など、5色に変わる珍しい温泉なのだそうです。お湯は30分経つと色が無くなってしまうとのこと。
冷鉱泉ですが、体感は約28℃位。硫黄臭たっぷりで、さらにシュワシュワの泡付きがあり、マニアにとってはたまらない良泉です。加温をしてしまうとこの泡付きが残念ながら消えてしまうとのこと。希望すればこの源泉浴槽に入れてくれるそうですが、準備もあるため事前に連絡したほうが良いでしょう。
この取材を行なったのは2017年12月。湯マニアの湯種にとって、入っている間は大丈夫でしたが、さすがに出ると寒さに震えました。すぐに館内の温かいお風呂に戻り、「いい湯だな」と、ひと心地つきました。
湯上がり後は休憩所へ。ストーブやテレビが置かれ、家庭のリビングスペースにお邪魔しているような雰囲気です。ご主人はこちらにお住まいかと思いきや、毎日近隣の市から車で通ってきていると聞いてびっくり。
ここではそばや玉子丼、しし鍋定食などの食事や名物の味付け玉子を楽しめます。箱根大涌谷温泉の黒玉子は有名ですが、倉真赤石温泉は「青玉子」が楽しめるそうですよ。(当面の間、食事の提供は休止中)
テレビの前にはご主人の手作りの藁細工が飾ってあり、見事な出来映え。鶴と亀と松をモチーフにした縁起物で一年を通じて飾ることができるそうです。室内に飾ってあった源泉湧出口の写真も五色の源泉の色が写っていてスゴいと思いました。
建物の周辺にはご主人のお孫さんやひ孫さんの誕生を祝って植栽された紅葉が150本。湯種が訪れた時は紅葉のピークを過ぎていましたが、きれいに色づいていました。敷地内の谷底には地元の人しか知らない滝があり、周囲の散策もおすすめです。
また、ネットのブログ記事を拝見していて、気になっていたピエロの人形。建物から少し離れたところにひっそり佇んでいました。
そして最後になりますが、倉真赤石温泉への林道はご主人が幅を広げ、生コンを入れて整備したもの。帰りにその道を通ると、ボランティアの方がお掃除をしてくれていました。とはいえディープな山道ですので、運転には気をつけてください。
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