芝川苑

富士山のふもとにある里山の湯宿
女将の心づくしのもてなしが魅力です!

静かな山里に湧く、知る人ぞ知る名湯
温泉宿ですが、日帰り入浴もできます

静岡県富士宮市・内房(うつぶさ)の里山にひっそりと佇む、昭和の面影を残す温泉旅館「芝川苑」。富士山の南麓に広がる自然に抱かれた場所にあり、新東名高速道路の新清水ICから車で約7分。JR身延線の芝川駅からもバスやタクシーで10分ほどと、アクセスも良く便利です。屋根付きの駐車スペースもあり、バイクで訪れる方の姿も見られます。
春には川沿いの桜並木が彩りを添え、初夏には近くの“ホタルの里”で幻想的な光に包まれるひとときも。富士山や朝霧高原方面へ足をのばす旅の途中に、自然豊かな温泉宿に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

特にこの地の特産「うつぶさの筍」は、“幻の白筍”とも呼ばれる名物。里山ならではの味わいとともに、温泉でゆったり過ごす時間は格別です。こちらでは宿泊はもちろん、日帰り入浴もできるのがうれしいところ。実は温泉マニアの井伊湯種(いいゆだね)でさえも知らなかった場所で、他の温泉マニアからの紹介でようやく訪れることができた、まさに“知る人ぞ知る”隠れた名湯です。

それでは、「芝川苑」についてご紹介していきましょう。

「芝川苑」の外観

「芝川苑」の外観

宿のロゴマークや入り口の暖簾がとてもセンス良く、オシャレだと思いました。紺とグリーンが混ざったような色がいいなと思い、オーダーしてつくってもらったそうです。

「芝川苑」の入り口の様子

「芝川苑」の入り口の様子

ふと目にとまったのは、敷地の奥に見える建物の屋根。その特徴的な形が気になり、女将さんにたずねてみると――「特にこのあたりに多い形ではないんです。大工さんがこだわってつくってくださったんですよ」と教えてくれました。職人の手仕事が活きる佇まいもまた、「芝川苑」の魅力なのかもしれません。

屋根の形

屋根の形が特徴的

「芝川苑」の温泉についての掲示

入り口にあった「芝川苑」の温泉についての掲示

池泉庭園

よく手入れされた池泉庭園

池の鯉

池には鯉が泳いでいます

玄関とロビー

玄関とロビー

受付

受付

お雛様

訪れたときはひな祭りの季節。立派なお雛様が飾られていました

和食器などの販売

味のある和食器などの販売も

館内を歩いていると、ふと目に留まる季節の草花。廊下やお部屋の随所に生けられたお花からは、女将さんのさりげないおもてなしの心が感じられます。

季節の花

季節の花が生けられています

池泉庭園を望む「庭風呂」と「露天風呂」
家庭的な雰囲気もこの宿の魅力のひとつです

「芝川苑」の湯処は、ふたつのお風呂が日替わりで楽しめるつくりで、それぞれに趣が異なります。
まずは「庭風呂」と「露天風呂」の方から見てみましょう。浴室に続く廊下の窓からは池泉庭園が見えます。

「庭風呂」と「露天風呂」の入り口

奥に見えるのが「庭風呂」と「露天風呂」の入り口

「庭風呂」は、庭に面した部分がガラス張りで開放感たっぷり。松の枝ぶりに侘び寂びを感じ、池で悠々と泳ぐ鯉が見えます。

「芝川苑」の湯は、ここからさらに奥へと続く山あい、約200メートルほど上の場所から引かれています。自家源泉からパイプを通じて貯湯タンクへ運ばれ、そこからボイラーで加温。無色透明のお湯を湯舟に届けています。
泉質は単純硫黄冷鉱泉。源泉の温度が低いため加温・循環されており、硫黄泉の香りはほとんど感じませんでした。湯はとろみを感じる肌ざわりで、体の芯からじんわり温まり、湯上がりもぽかぽかとした心地よさが続きます。

温泉成分に関する掲示

温泉成分に関する掲示

「庭風呂」

「庭風呂」

「庭風呂」に浸かる井伊湯種(いいゆだね)

「庭風呂」に浸かる井伊湯種(いいゆだね)

「露天風呂」の開放感は格別で、自然と調和した空間。この露天風呂は、かつて池だった場所を丁寧に改装してつくられたものだそうです。目の前に広がる庭園の景色とともに湯に浸かれば、まるで四季の中に身をゆだねているような感覚になります。4月頃には借景ではありますがヤマザクラが花を添え、湯浴みの時間をいっそう豊かなものに。
庭を眺めながら浸かる湯は、静かな贅沢そのものです。最近屋根を設けたとのことで、日差しを避けながら、また小雨の日にも心地よく湯に浸かれるようになっています。夜は星空が見えてとてもきれいだそうですよ。

「庭風呂」

「露天風呂」

「露天風呂」から見える景色

「露天風呂」から見える景色に癒されます

「露天風呂」に浸かる井伊湯種(いいゆだね)s

「露天風呂」も堪能

「庭風呂」と「露天風呂」の方の洗い場

「庭風呂」と「露天風呂」の方の洗い場。シャンプー等も完備

「庭風呂」と「露天風呂」の方の脱衣所

「庭風呂」と「露天風呂」の方の脱衣所

「庭風呂」と「露天風呂」の方の洗面台

「庭風呂」と「露天風呂」の方の洗面台。ドライヤーもあります

「檜風呂」の入り口

奥に見えるのが「檜風呂」の入り口

続いて、「檜風呂」を見てみましょう。
年月とともに、いい色合いに変化したヒノキ。なめらかな肌触りになっています。

「檜風呂」

「檜風呂」

「檜風呂」

程よい大きさの「檜風呂」

「檜風呂」の洗い場

「檜風呂」の洗い場

「檜風呂」の洗面台

「檜風呂」の洗面台

昭和レトロなお部屋で
山里の風景を望みながら過ごす

続いて、お部屋の方を見ていきましょう。
昭和46年の創業以来、ほとんど変わらないままという、昭和レトロな7つの和室を用意しています。それぞれの部屋から見える庭園は、清水市で使われていたものをわざわざ移設したもの。モミジやイチョウが見える部屋もあり、秋の風景は特にきれいなのだそう。周辺観光を終えてから訪れ、宿で温泉に入り、美味しい料理を食べて、ゆっくり過ごしたくなる雰囲気です。

レトロな部屋

タイムリスリップしたような気分になれるレトロな部屋

里山の風景

外の里山の風景に癒されます

宿泊の予約はインターネットからが中心で、週末には温泉だけを目当てに訪れるリピーターの方も多いそうです。
宿泊される方の中には、静岡市や富士市といった県内からはもちろん、東京をはじめとした関東圏、名古屋、大阪方面など、富士山を目的に遠方から足を運ぶ方の姿も。春には、富士山と桜を一緒に写真に収められる絶景を求めて、カメラを手に訪れる方も増えるそうです。

窓からの眺め

湯上がりに窓の外を見ながらお茶を飲む時間も良さそうです

“幻の白筍”を味わえる
女将さん手づくりの里山料理

「芝川苑」のお食事は、女将さんが心を込めて手づくりする、里山ならではのメニュー。敷地内で採れる山菜や野菜、木の実をはじめ、近隣の農家さんから届く旬の食材など、地元の恵みをたっぷり使ったお料理が並びます。食後には、敷地内の山で採れた栗を使ったマロンペーストをのせた自家製バニラアイスが登場。自然の恵みが、最後までやさしく口の中を包んでくれます。

夕食の一例

夕食の一例

春の訪れとともに、特に楽しみたいのが「うつぶさの筍」。「芝川苑」がある富士宮市・内房地区で採れるこの筍は、やわらかく白い色合いで、えぐみが少ないのが特長。“幻の白筍”とも呼ばれるほど希少な地元食材です。
お食事に出される筍は、敷地内の竹林で採れたものを使用。富士山の伏流水である井戸水と、薪と竈(かまど)でゆで上げられ、素材本来の甘みが引き立ちます。えぐみがほとんどないため、お刺身としてそのままいただくことも。春の味覚を存分に堪能できる、特別なひと皿です。
3月後半から5月中旬がシーズンですが、そのほかの季節には、保存された筍を使った釜飯やグラタンなどが楽しめます。
朝食も、丁寧に仕立てた和定食。焼き魚、筍のきんぴら、黒はんぺんとちりめん山椒、温泉たまご、生ハムサラダなど、地元の味を取り入れた品々が並びます。ヨーグルトには、柚子などを使った自家製ジャムが添えられ、朝からほっと心がほどけるひとときを演出してくれます。

筍コース料理

「筍コース料理」筍ステーキあり5,500円(税込)、なし4,620円(税込)

宿泊客のお食事は宴会場を仕切って個室にするので、ゆっくりいただけます。この場所は、法事や宴会等にも対応。会合等での利用も多いとのこと。

宴会場

宴会場

桜とホタルと満天の星空
温泉とともに味わう、里山グランピング

芝川苑のすぐ隣、屋上スペースを活用した1日1組限定の貸切グランピング「芝川苑 okujo villa」。
始まりは3年ほど前。女将さんが「何か新しいことを」と考えていたときに、ちょうどコロナ禍をきっかけに「グランピングなら安心して楽しんでもらえるかも」と思い立ちスタートしたのだそうです。

すぐ近くには「ホタルの里」があり、シーズンになると蛍の光が幻想的に舞う風景に出会えることも。春は桜、そして夜には星空も。まわりに灯りが少ないからこそ楽しめる、静かな贅沢がここにはあります。

お食事は、筍のピザやパエリアなど、女将さん手づくりの“地元野菜×筍”のキャンプ飯。心づくしの料理と季節の香りが、外でいただくごはんをより一層特別なものにしてくれます。

温泉は「芝川苑」の湯を利用できるので、グランピングと温泉の両方を満喫できるのもうれしいポイント。現在は宿の予約状況によりグランピングは一時お休み中とのことですが、興味のある方はぜひ一度、問い合わせてみてはいかがでしょうか。

グランピング

1日1組貸切グランピング

グランピング

温泉宿とは異なる雰囲気

ガーリックチキンやポテトのプレート

ガーリックチキンやポテトのプレート

“幻の白筍”を使った料理や
満天の星を眺めながらの露天風呂を楽しみたい!

今回は日帰り入浴で立ち寄らせていただきましたが、次はぜひ宿泊で訪れたいと思いました。名物「うつぶさの筍」を使った手づくりのお料理をじっくり味わい、「露天風呂」から満天の星を眺めるひとときを過ごしてみたい。そんな思いを胸に、「芝川苑」をあとにした井伊湯種(いいゆだね)でした。

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  • 芝川苑
  • 住所

    静岡県富士宮市内房919-1

    電話

    0544-65-0542

    宿泊料金の
    目安

    1人20,900円~(税込)(夕食、朝食付き)
    ※時期により変動します

    日帰り入浴

    (日帰り)10:00~15:00
    席料1,650円(税込)+入湯税150円
    10名様以上・席料1,100円(税込)

    (温泉のみ)10:00〜19:00(利用時間は日により異なる場合があります)
    700円(税込・入湯税込み)

    ※タオル類の備え付けはありませんのでお持ちください

    貸切風呂

    なし

    泉質

    単純硫黄冷鉱泉

    アクセス

    (電車・バス利用)
    JR東海道新幹線で東京駅から三島駅まで約50分、
    JR東海道本線で三島駅から富士駅まで約30分、
    JR身延線で富士駅から芝川駅まで約35分、
    JR芝川駅からタクシーまたは町営バスで約10分

    (マイカー利用)
    新東名高速道路の新清水ICから車で約7分

    駐車場

    約20台

    HP

    https://shibakawaen.com

    Wi-Fi

    全館で利用可能

    取材時

    2025年3月