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湯河原温泉 旅館 伊藤屋

湯河原で明治21年創業、
文豪たちも訪れた登録有形文化財の老舗旅館

今回、井伊湯種が訪れたのは、神奈川県・湯河原にある老舗旅館「伊藤屋」。明治21年創業という歴史を持ち、国の登録有形文化財のお宿です。古くから島崎藤村などの文豪が訪れ、また、2・26事件の舞台になった宿としても知られています。

伊藤屋 登録有形文化財

石垣と門柱も登録有形文化財

伊藤屋「五十二番」の窓ガラス

本館客室「五十二番」の窓ガラス

島崎藤村などの文豪が訪れ、2・26事件の舞台にもなった老舗旅館

神奈川県の西南端に位置する湯河原町は、相模湾を東に望み、三方を箱根外輪山や伊豆・熱海の山々に囲まれ、一年を通じ温暖な地です。
湯河原駅から車で約5分のところに伊藤屋があります。歴史を感じさせる古い建物ながらも手入れが行き届いており、館内には穏やかな空気が流れているのを感じました。

創業は明治21年。古くから徳大寺公爵、黒田清輝、円朝、有島武郎など、文人墨客の定宿として愛されてきたそうです。島崎藤村が名作「夜明け前」の原案を練ったのもこちらの宿と言われ、館内のロビーに藤村の原稿や愛用品、宿帳や献立表が展示されています。

伊藤屋エントランス

風情あるエントランス

伊藤屋ロビー

ロビー

伊藤屋 島崎藤村の献立

島崎藤村宿泊時の会計簿。献立も書き込まれている

また、昭和11年2月26日に起こった2・26事件の舞台となった宿としても知られていて、伊藤屋別館「光風荘」に投宿していた牧野伸顕伯を河野大尉の指導する麻布第一連隊の兵士が襲撃。その際に牧野伯はお付の女中の機転で勝手口から脱出、塀を乗り越えて裏山に逃れ、助かったそうです。襲撃の際、光風荘は全焼。河野大尉らが襲撃前の偵察に宿泊した本館の客室「十九番」は、当時のままで現在も宿泊することができます。

登録有形文化財の部屋にも宿泊できる! バリアフリーの部屋も人気

伊藤屋は平成25年11月に門柱・石垣と本館3棟のうち2棟が国の登録有形文化財に登録されました。部屋数は全13室。客室のタイプは、本館の登録文化財の部屋、バリアフリーの部屋、新館の部屋があります。

登録文化財の部屋で代表的な客室は「五十ニ番」。明治天皇の侍従長をつとめていた徳大寺公爵が宿泊されるために大正時代(関東大震災前)につくられたそうです。一歩部屋に踏み入れて印象的だったのは、当時のままのガラス窓でした。ゆがんで見えるガラスは、今ではつくることができないものなので、とても貴重。窓の桟や鴨居などにほどこされたひとつひとつの精細な意匠は職人技の巧みさを見ることができ、古き良き時代の風情を感じさせてくれます。
直したのはシャワートイレへの改装など、水周りだけとのこと。その階下には徳大寺公爵のお付の方が泊った「五十一番」の客室があり、こちらも繊細な職人技がほどこされた客室です。

伊藤屋本館客室「五十ニ番」

登録有形文化財の本館客室「五十ニ番」。和室 本間(10畳)+次の間(6畳)+三の間(4.5畳)+広縁 洗面・シャワートイレ付き

伊藤屋「五十二番」の広縁

「五十二番」の広縁。窓ガラスも当時のまま

伊藤屋 登客室「五十一番」

登録有形文化財の本館客室「五十一番」。和室 本間(8畳)+次の間(6畳)++広縁 洗面・シャワートイレ付き

また、1階のバリアフリー対応の客室「五十三番」も人気の客室の一つで、もともと20畳の客室を10年前にリニューアルしたそうです。玄関ロビーから段差がなく、お風呂にも一番近いお部屋で、広々としており、中庭に面しているので四季折々の美しい風景を楽しめるのが良いと思いました。館内で車椅子の利用はできないそうですが、簡易ベッドを用意することができるそうです。

伊藤屋 「五十三番」 width=

新館の客室は平成3年に4室つくられたもので、その中で一番グレードの高い客室が「十三番」。和室12畳の隣に応接間が付いています。新館の部屋は全室シャワートイレ、ユニットバス付き。私はこの部屋に宿泊させていただきましたが、シンプルながらも落ち着ける空間で、とても快適でした。

伊藤屋客室「十三番」

新館の客室「十三番」。和室 12畳+応接間+広縁 バス・シャワートイレ付き

歴史のある湯河原温泉を登録有形文化財の宿で堪能!

湯河原温泉は「万葉集」にも詠まれ、約1300年の歴史を持つ関東一の古湯。昔は河原から自然に湧き出していたそうです。そんな歴史のある湯河原温泉を伊藤屋のお風呂で体験しました!
伊藤屋さんには、男女別の大浴場(内風呂)のほか、「貸切専用露天風呂」と「貸切専用半露天風呂」があります。貸切専用風呂は予約の必要はなく、無料で空いていれば、何度でも入れます。利用時間は、15:00~22:30、7:00~9:30で1回の入浴時間は30分以内。
入浴の際に入口に「貸切中」の札を下げておくシステムですが、入口に鍵がかけられるので安心して入れます。

まずは「貸切専用露天風呂」に入ってみました。4人も入ればいっぱいになる岩風呂ですが、開放感があります。心地よいお湯とひんやりとした外気が気持ちよく、いつまでも入っていたくなるようなお風呂でした。

伊藤屋 貸切専用露天風呂

人気の貸切専用露天風呂は和の趣

また、「貸切専用半露天風呂」はモダンな雰囲気で、入口から段差のないバリアフリー設計です。窓の開放部分が大きく、外気が充分に入ってきます。

伊藤屋バリアフリー計半露天風呂

バリアフリー設計の貸切専用半露天風呂。段差がないことや、てすりがうれしい

そして、15:00から翌朝9:30まで利用できる殿方風呂(大浴場)は、ゴツゴツとした天然石を使った内風呂。湯けむりが旅情を誘います。

それぞれ温泉の泉質はナトリウム・カルシウム‐塩化物・硫酸塩泉。源泉は65.5度、と高温ですが、お湯の温度にはご主人の伊藤さんのこだわりがあり、加水をして温度調整を行い40~41℃にしているそうです。ぬるめのお湯が好きな私には適温でした。
お湯は無色透明、無味無臭。サラリとした肌触りで、pH8.6のアルカリ性のお湯です。切り傷や火傷、慢性皮膚病などに効能があると言われ、泉質から見れば美人の湯とも言えます。塩化物泉でもあるので、よく温まり湯冷めしにくい特色も。湯河原温泉は古くから「傷の湯」と知られ、日清・日露戦争以降、傷病兵のための指定温泉地になったそうです。

伊藤屋大浴場(殿方風呂)

ゴツゴツとした天然石を用いた大浴場(殿方風呂)

伊藤屋お湯は無色透明

お湯は無色透明

伊藤屋 大浴場の井伊湯種

大浴場でくつろぐ井伊湯種

伊藤屋 女性用大浴場

女性用の大浴場

翌朝も「貸切専用露天風呂」に入ってみました。湯種は、夜とは雰囲気の違う朝風呂が大好きです。小鳥の鳴き声が聞こえ、露天風呂からは裏山や庭の木々が見えます。清々しい朝の空気を感じながら入る温泉は格別でした。

次はお食事についてレポートします!

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