箱根強羅温泉 強羅花扇 円かの杜(まどかのもり)
木の美学と自家源泉かけ流しを堪能
木と畳の温もりのする宿で
過ごす安らぎの時間
久々に箱根の湯宿のレポートです。今回、井伊湯種が訪れたのは、箱根強羅に位置する「強羅花扇 円かの杜(まどかのもり)」(以下、円かの杜)。飛騨高山にルーツを持つ強羅花扇グループが経営する「強羅花扇」、「強羅花扇 早雲閣」に続き、2014年12月にオープンした箱根エリアにおける3件目の宿です。
その中でも最もグレードが高いのが円かの杜。箱根の森に潜む隠れ宿という趣きです。
円かの杜は強羅の高台に建ち、窓の外は箱根の大自然。敷地内に泉質の異なる自家源泉を2本所有し、堪能できるのは源泉かけ流しの箱根強羅温泉です。
円かの杜の宿名の由来は、円(えん)とご縁の「えん」にかけて、お越しいただいたお客さまに滞在を通して丸く満ち足りた気分でお帰りいただきたいという想いから。円窓や水車など、館内の内外に円のモチーフが用いられています。
チェックイン・カウンターには長大な神代欅の一枚板が使用されています。その後ろには葛飾北斎作の金屏風があり、その美しさに目を奪われました。
円かの杜は木や畳の温もりを大切にした宿で、特に木へのこだわりが半端ではありません。20年かけて全国から集めた欅や杉、檜の銘木がふんだんに使われています。独特の木の美学や「飛騨の匠」が手がけた粋が感じられる宿なのです。
エントランスやロビーの柱や天井の梁にも欅材が使用され、圧倒されます。
また、円かの杜はロビーをはじめ、客室、廊下、エレベーター内や大浴場に至るまで、全館畳敷き。この心地よさはクセになります。素足で歩いていても気持ちが良く、しかも温かい。冬は館内に床暖房が施されていて、熱交換による温泉の熱を利用しているそうです。
また、ラウンジに隣接して囲炉裏スペースがあります。円かの杜では、木と畳の香りを大切にしているため、館内は禁煙ですが、ここでは喫煙が可能。
愛煙家はぜひ、極上の喫煙室とも言える囲炉裏スペースへ。ここではコーヒーやお酒も楽しむことができます。
客室は20室のみで、全室露天風呂付き
それぞれ風雅な植物の名前が付けられた、円かの杜の客室は全部で20。回廊に沿って配置され、すべての客室に個室露天風呂が付いています。
間取りや展望はそれぞれ異なり、スタンダードルーム(8室)やデラックスルーム(7室)、スイートルーム(5室)を用意。
木を多く用いた客室には飛騨の匠が手がけた美しい木製家具を設えてあります。
それでは円かの杜の客室がどんな様子なのかレポートしますね!
円かの杜の「海老根(えびね)」は、3階にあり、眺めの良い箱根仙石原方面に面したデラックスルーム。2人で泊まるのにちょうど良い広さで、ベッドルームとリビング、ソファーを備えています。
円の意匠が用いられ、木の設えが見事な室内は、木の香りを楽しみながらリラックスできる雰囲気。家具は飛騨高山の木製工芸品のため、シンプルながらも優美で温かみがあります。
広々としたベッドルームには景色をゆっくり眺められるよう窓に面して座り心地の良いソファーを配置。また、ベランダにもイスとテーブルが用意され、箱根の自然に親しむことができます。
客室露天風呂で楽しむ美肌の湯
円かの杜の客室露天風呂は源泉かけ流し。さし湯と水の蛇口があり、好みの温度に調整することができます。
隣接してスタイリッシュなシャワー(1人用)があり、髪や肌にやさしいTAMANOHADAのシャンプー・コンディショナー・ボディソープのセットが用意されていました。
部屋から一歩も出ないで好きな時間に温泉を楽しめるのは至福のひとときです。
円かの杜では、敷地内に泉質の異なる2本の自家源泉を持ち、客室と大浴場でそれぞれ異なった泉質を楽しむことができます。
客室露天風呂の泉質は、ナトリウム-塩化物温泉。源泉の温度が91.1℃と高温のため、加水のみ行なっています。
無色透明のやさしい肌触りのお湯はフレッシュで、何ともいえない良い香りがしました。
よく温まるだけでなく、保湿効果があるそうで、湯上りはお肌がしっとり。
クレンジング効果のある大浴場の温泉に浸かってから、客室の温泉に入り保湿するのがおすすめとのことです。
翌朝、窓の外は雪景色となり、客室から雪見風呂が楽しめました。あたり一面が銀世界になり、それは幻想的な眺めだったのです。
シャキッとする冷たい風を頬に感じながら、心地よいお湯にいつまでも入っていたいと思いました。
冬の箱根はいつでも雪が降るわけではありませんが、雪見温泉は冬の醍醐味だと思います。
部屋は木の香りに包まれ、床暖房はもちろん、座り心地の良いチェアやソファーのおかげでとてもくつろげました。
リビングとベッドルームにそれぞれテレビが設置されており、広々としたベッドも快適で熟睡できました。
また、豚毛の歯ブラシやコーヒー、お茶セットなど、アメニティも充実。浴衣のほか、ガーゼ素材の作務衣やバスローブ、イリーのエスプレッソマシーンや加湿器が用意されていたのも良かったです。
円かの杜の「馬酔木(あせび)」は、3階にあるデラックスルーム。2〜4人用の客室で、面積は59㎡。スイートルームに匹敵する広さです。ベッドルームと8畳の座敷に加えて、ダイニングルームを備えています。
この客室では食事を部屋出しで楽しむことができます。
源泉かけ流しで絶景露天風呂を満喫
ぬる湯とあつ湯を楽しめる大浴場
では次に、パブリックスペースの大浴場をご紹介します。
円かの杜の露天風呂付き大浴場は男女別で、時間により入れ替え制となっています。
源泉かけ流しの大浴場には円かの杜が所有する2本の自家源泉のうち、1本が使われ、泉質はナトリウム・硫酸塩・炭酸水素塩温泉。箱根強羅ではめずらしい泉質だと思います。源泉の温度は63.1℃。適温にするため加水のみ行なっています。
大浴場も美肌の湯。最初若干のキシキシ感を感じましたが、湯上りは肌がスベスベに。大浴場の温泉にはクレンジング効果があるそうです。
円かの杜の内湯ではぬるめのお湯(ぬる湯)とあつめのお湯(あつ湯)、そして寝湯が楽しめます。
ぬる湯とあつ湯を行ったり来たりしながら、交互浴を楽しんでください。
そして圧巻なのは大浴場の露天風呂。箱根の森に囲まれた露天風呂は、開放感があり、季節が織りなす風景を眺めることができます。
この日は思いもかけず雪が降ったため、絶景雪見風呂を楽しむことができました。
一段高くなった手前の湯船からは山々が見渡せ、絶景が楽しめるロケーション。お湯の温度は、ほど良い感じでした。
その先の湯船は2つに分かれ、手前があつめの湯、奥側はぬる湯になっています。
特に一番奥の湯船は「ぬる湯好き」の湯種好み。森にすっぽり包まれているような感覚もたまりません。
こんな素晴らしい温泉に入ることができて、心身ともにリフレッシュできたのはもちろん、「ここから帰りたくない…」と思った湯種でした。
また、印象的だったのは脱衣所。高級感のあるソファーが惜しげもなく置かれ、湯上りにゆったりとくつろげます。
パウダールームには仕切りがあり、ヘアトニックやヘアリキッド、アフター・シェーブローション(女湯にはクレンジングオイルや化粧水、乳液など)などのアニメティが用意されています。
バスタオルやフェイスタオルは脱衣所に用意されているので、部屋から持っていく必要はありません。
冷たいドリンクやマッサージ機が用意されている湯上り処にもソファーが置かれて、ゆっくりできます。
温度が選べる岩盤浴やエステも
円かの杜では2人で利用できる岩盤浴スペースも2室用意されています。
1室は50℃、もう1室は45℃に設定されていますので、好みの温度を選ぶことができます。利用時間は45分で予約制(1,800円)。
また、本館から少し離れた森の中にエステティック棟「MORI」があり、トリートメントルーム2室(有料)を完備。大きな窓からは季節ごとに変化する自然の彩りを楽しむことができます。
1室2人まで利用でき、カップルでの施術も可能ですので、大切な人と一緒に安らぎの時間が過ごせます。
夕食後は蔵バーでまったり
また、円かの杜にはとっておきの秘密めいた場所があります。それは地下1階にある蔵バー「こだま」。
重厚な扉の奥には一枚板の神代欅のカウンターがあり、落ち着ける雰囲気です。開店は20:00からで、まさに夕食後にくつろげる隠れ家的空間。
蔵バー「こだま」では、ウィスキーはシングルモルトを中心に揃えられ、カクテルも楽しめます。
おすすめはウォッカをベースにしたオリジナルカクテル「円かの杜」。森をイメージした、ミントチェリー入りのカクテルです。ライチやメロンリキュールなども使われ、口当たりが良く飲みやすいカクテルでした。
円かの杜は森の中に佇み、木の香りのする日本旅館ですので、ジャパニーズ・ウィスキーも相性が良さそうですね。