太閤湯
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宮ノ下で気軽に立ち寄れる、昔ながらの共同浴場です!
約300年受け継がれる自然湧出の湯
地域に愛され続ける、宮ノ下の日帰り温泉浴場
神奈川県箱根町宮ノ下にある「太閤湯(たいこうゆ)」は、地元の方に長く親しまれてきた共同浴場です。
華やかな設備が並ぶ温泉施設とはひと味違い、地域の暮らしの中に溶け込んだ、素朴でどこか懐かしい雰囲気があります。
井伊湯種(いいゆだね)はこのような共同浴場が大好き。
「太閤湯」は共同浴場ですが、一般の人も利用することができ、入浴料は大人600円(税込)です。
無料で利用できる駐車場が5台分用意されており、マイカーでも訪れることができます。
井伊湯種(いいゆだね)は、これまでに何度も「太閤湯」を訪れていますが、以前は温度調節ができず、激熱だったので、しばらく足が遠のいていました。
先日、久しぶりに立ち寄ってみたところ、とてもいい湯加減だったため、取材させていただくことにしました。
それでは、「太閤湯」をご紹介していきましょう。
初めて訪れる方はわかりにくいので、簡単に道案内を。
東名高速道路の御殿場ICから行く場合は、国道138号を箱根方面へ進み、「箱根ガラスの森美術館」を過ぎて宮ノ下方面へ。「富士屋ホテル」の近くまで向かいます。
左手に「太閤湯」の看板が見えるので、看板の手前を左折します。間違えて、看板の先に見える駐車場に入らないよう、気を付けましょう。
もちろん、箱根湯本方面から向かう場合はこの逆となりますので、「太閤湯」の看板の先を右折します。
御殿場方面から向かう場合は、国道138号から宮ノ下の交差点をわずかに過ぎ、国道1号と接続してすぐのあたり。写真手前にある細い小道を左折します。通り過ぎると戻るのがたいへんなので注意を。写真右手奥に見えるのが「富士屋ホテル」です
男女それぞれ2つあるお風呂
熱いお湯なので湯加減は好みに合わせて調節を
太閤湯の男湯、女湯には、それぞれ2つずつ浴室があります。
2つの浴室では同じ源泉を使用していますが、広さが少し異なり、その日の混雑具合や好みに合わせて選ぶことができます。また、脱衣所は一つなので、両方に入ってみることもできます。
ずっと疑問だった「なぜ浴室が2つに分かれているのか」について、「太閤湯」の歴史に詳しい地元の自治会長さんに伺ってみました。
「ここはもともと地元の方が利用する共同浴場だったため、昔からなんとなく『右に入る人』『左に入る人』と分かれていたようです。なるべく顔を合わせずに入りたいという気持ちもあったのでは」
なるほど、共同浴場ならではの面白い習慣ですね。
源泉は、28号と29号の混合泉で、宮ノ下温泉(源泉名:太閤湯)。
泉質は、ナトリウム-塩化物温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)。
メタケイ酸を豊富に含み、館内では「石鹸(せっけん)のようなクレンジング作用があり、肌の汚れ、角質を落としてスベスベ効果があります。保湿効果もとても高く、美肌効果もあります」と紹介されていました。
伺った話によると、源泉地では約75℃という非常に高温の湯が湧き出し、太閤湯に届くころでも約63~64℃あるとのこと。
(館内に掲示された「温泉の成分、禁忌症及び入浴上の注意事項掲示証」には、源泉温度63.9℃、使用位置の温度40~42℃と記載されています)
昔は加水不可の激熱浴場として有名でしたが、現在は自由に加水でき、好みの湯加減で入浴できます。
温泉マニアとしては、せっかくの温泉を水で薄めたくない気持ちもありますが、適温の湯にゆっくり浸かるのもいいもの。
取材時もかなり熱く感じたため、少し加水して入浴しました。
浴槽には源泉が出る蛇口と水の蛇口があり、自分の好みに合わせて湯温を調節しながら入ることができます。
小さい方の浴槽は湯量が少ない分、温度調節もしやすそうです。
広い方の浴室の温泉に浸かる井伊湯種(いいゆだね)
約300年受け継がれる、箱根でも珍しい自然湧出の温泉
「太閤湯」の歴史について、地元の自治会長さんにお話を伺いました。
「太閤湯」の源泉は、現在の建物から約1km離れた八千代橋付近にあります。
箱根でも珍しい自然湧出の源泉で、岩肌の間から自然に湧き出した温泉を引いています。
その歴史は約300年前、徳川吉宗の時代までさかのぼるそう。
当時は現在のような配管設備がなかったため、竹筒をいくつもつなぎ、源泉から湯を引いていたとのこと。
今では想像しにくい方法ですが、当時の人々の知恵がうかがえます。
現在の「太閤湯」と深い関わりがあるのが、すぐ近くにある「富士屋ホテル」です。
自治会が所有する28号源泉と、富士屋ホテルが所有する29号源泉を途中で合わせ、その混合泉を富士屋ホテルと自治会で6:4の割合で分け合って使用しています。
源泉から富士屋ホテルまでの配管などはホテル側が管理し、そこから「太閤湯」までは自治会が管理するという役割分担が、明治初期から続いているそうです。
さらに、現在使われている建物も、1933~1934年ごろに富士屋ホテルが建てたものだそう。
1953年には火災で2階の休憩所を焼失しましたが、残った鉄筋コンクリート造の1階部分を生かしながら、現在まで使い続けられています。
華やかな「富士屋ホテル」と、昔ながらの共同浴場である「太閤湯」。
一見すると対照的な2つの施設ですが、実は同じ温泉を分け合いながら、長い年月をともに歩んできたのですね。
地域に溶け込み、「太閤湯」を守るネパール出身のご夫妻
「太閤湯」は、今も地元の方が日常的に利用する共同浴場。
組合員は約30人で、夕方になると常連の方が訪れます。
一度に混み合わないよう、外から訪れる方にも配慮しながら、自然と時間をずらして入浴するという「あうんの呼吸」も続いているそうです。
現在、「太閤湯」の管理を担っているのは、ネパール出身のご夫妻です。
2021年6月から管理を任され、奥さまが中心となって受付や清掃を行い、普段は通訳のお仕事をされているご主人も、たまに受付に立ったり、設備の修理を手伝ったりしながら、夫婦で「太閤湯」を支えてくれています。
今回お話を伺った自治会長さんも、ほぼ毎日のように「太閤湯」を利用されているそうです。
夫妻のお子さんのことも、まるで自分の孫のようにかわいがっており、家族ぐるみの親しい関係が伝わってきました。
実は、夫妻が管理を始める前は、前任者の退職後に後継者が見つからず、一般利用を休止していた時期もありました。
そんな中、近隣の旅館の女将さんから紹介されたのがご夫妻でした。
ご主人は以前から地元のお祭りを熱心に手伝っており、地域の方からもよく知られた存在だったそうです。
日本語だけでなく英語も堪能なため、海外から訪れる方にも入浴方法やマナーを分かりやすく案内してもらえます。
館内には、ご夫妻と地域の方との交流を紹介した新聞記事や広報誌も掲示されていました。
地域の方と管理人ご夫妻、そして観光で訪れる人たち。
小さな共同浴場だからこそ生まれる距離の近さも、「太閤湯」の魅力の一つなのだと思います。
昔ながらの共同浴場で、じっくり名湯を楽しめます
「太閤湯」は、箱根を代表する日帰り温泉浴場の一つ。
豪華な設備があるわけではありませんが、すぐ近くの「富士屋ホテル」と分け合う源泉を、かけ流しで楽しめるのが大きな魅力です。
約300年受け継がれてきた温泉と、今も地元の方の暮らしの中にある共同浴場の雰囲気。
その両方を感じながら、じっくり湯浴みを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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