小田原温泉 八里
「ぬる湯好き」が通う、風祭駅近くの日帰り温泉
通好みの源泉かけ流しのジワジワ湯
今回は井伊湯種(いい・ゆだね)が大好きな昭和の香りのする小田原温泉を紹介します。それは箱根登山鉄道・風祭駅近くにある小さな日帰り温泉「八里(はちり)」。場所は国道1号線をはさんで「鈴廣かまぼこの里 かまぼこ博物館」の向かいにあります。
この温泉は、以前取材させていただいた、箱根・強羅の「箱根町老人福祉センター やまなみ荘」の温泉好きMさんの推薦でもあります。
看板には「入浴・そば・休憩」とあり、以前から「そば」という文言が気になっていました。女将さんにお伺いすると、「もともとみかん農家で、旅館業や蕎麦屋をやっていたことがありますが、12年前に日帰り入浴だけにしました」とのこと。
下駄箱に靴を預け、受付で料金500円を支払い、入浴は1時間1回限り。廊下の一番奥が男女別のお風呂になっています。
浴室には4〜5人入れる浴槽があり、源泉かけ流しです。
パイプから源泉が勢いよく浴槽に注がれ、ライオンの湯口の上にカップが置かれているのが目にとまりました。
入浴前に女将さんからアドバイスがありました。「まず源泉を1回だけ飲んで、肩までお湯に浸かってください。(温まってきて)頭がむ〜んとしてきたら、浅いところに座ってひと休みを。それからまた肩まで浸かって…。これを3回繰り返すとだいたい1時間になります」。
なるほど、よく温まって身体に良さそうな入浴方法です。源泉はクセのないまろやかな味でした。
以前、八里は「秋山温泉」と呼ばれ、現在利用している源泉(小田原温泉4号泉)は、先代が20年近くかけて掘り当てたもの。早川に集まる魚の群れを見て、温泉が流れているのではないかと考えたそうです。こうした温泉にまつわるお話は興味深く、温泉にかける情熱やロマンを感じました。
温めのお湯はやわらかで、泉質は弱アルカリ性単純温泉。無色透明であまり特長のないお湯なのですが、疲れた身体にジワジワ効くような温泉です。「膝の痛みや腰痛等の緩和のためにかよう方が多い」と聞いて納得。
湯上がり後は、とにかく汗が止まりません。一番涼しいという洗面所で少し休憩することに。館内で缶ビールを購入できますので、飲みたい人は受付にいる女将さんに声をかけるといいでしょう。
広間での休憩は1人1,500円(入浴料含む)。利用時間は10:00〜16:00でお風呂に何回も入れます。飲食物の持ち込みもOK。
また個室休憩もあり、室料は2,000円。遠方から毎週訪れるご家族もいらっしゃるそうです。
1時間の入浴だけでさっと帰るのもいいし、広間や個室で休憩をして、ゆっくり過ごすのもよいですね。ぬる湯を楽しめる、温泉好きには穴場的な日帰り温泉です。
帰り際、靴を履こうとしたら、靴の中に何かが入っていてびっくり。それは女将さんからのサービスのお菓子でした。
箱根湯本や風祭に訪れた際には、ぜひ八里に寄ってみてください。気さくで話好きな女将さんが、歓迎してくれますよ〜。
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