玉峰館 河津・峰温泉
伝統とモダンが響き合う
大正15年創業の源泉かけ流しの湯宿
温泉櫓から噴き上げる源泉と
現代の匠がつくりあげた上質な空間
伊豆・河津町にある「玉峰館(ぎょくほうかん)」は、峰温泉のルーツであり、大正15年創業の源泉かけ流しの老舗旅館。敷地内には複数の温泉櫓(やぐら)があり、今も湯煙とともに源泉が湧き出しています。
2013 年5月、「古き、新しき、極み。」をコンセプトにリニューアルし、伝統とモダンが融合した宿に生まれ変わりました。館内の意匠を手がけたのは、紫綬褒章をはじめ、数々の受賞歴を持つ世界的なインテリア・デザイナー内田繁(うちだしげる)氏。木の温もりのする伝統を大切に残しながら、黒を基調とした洗練された空間をつくりあげています。
峰温泉1000年以上の歴史を受け継ぐ源泉を楽しむ
もともと河津町の峰温泉の歴史は奈良時代まで遡り、湧き出た源泉は霊泉と言われていたそうです。しかし、その源泉がいつのまにか枯渇し、伝説の存在になっていました。
現在の峰温泉は、玉峰館の創業者の稲葉時太郎氏が大正15年に掘り当てたもの。50メートルもの天空に達したという約100℃の自噴泉を所有したことが宿を開業するきっかけになりました。今も活発に自噴しており、その温泉櫓を宿に隣接する峰温泉大噴湯公園で見学することができます。
玉峰館では3本の源泉を所有し、豊富な湯量を確保。客室専用露天風呂を含め、すべての湯船で源泉かけ流しを堪能できます。また、大浴場(2ヵ所)と貸切風呂(3ヵ所)は異なる造りになっており、それぞれの趣きを楽しめます。
男女入替制の2つの大浴場「大岩露天 吹花(すいか)」「湯処 風花(かざはな)」では、異なる源泉を楽しめます。同じ泉質(ナトリウム-塩化物温泉)でありながら、成分やpH値などが微妙に違いますので、温泉好きの方はその違いを比べてみるのも楽しいと思います。
「大岩露天 吹花(すいか)」は創業時の浴室のあった場所に設えた、岩を敷き詰めた露天風呂。30人位入れるほどの広々とした露天風呂に取材同行してくれた湯達入郎(ゆったりはいろう)氏とともに入りました。このお風呂には大正15年に掘り当てた源泉(峰1号)を含む混合泉を利用しています。峰温泉の歴史を語るうえでは欠かせない源泉をかけ流しで楽しめるのはとても贅沢。しかもメタケイ酸がたっぷり含まれた美肌の湯です。
この湯船では、峰温泉大噴湯公園の温泉櫓が隣に位置しているため、1時間おきに吹き上げる大噴湯の様子も伺えます。タイミングが合えば、霧のような自噴泉の雫を浴びることができるかもしれません。
また、大浴場「湯処 風花」ではモダンな雰囲気の黒い湯船の内風呂とヒバ作りの露天風呂を楽しむことができます。
貸切風呂は造りの異なる3室を用意。その中でも最も開放的なのが「陶器風呂 薫風(くんぷう)」です。窓がないため、露天風呂のように楽しむことができ、湯船は信楽焼の陶器風呂。浴室の木材には檜を使用しているため、良い香りに包まれています。
この湯船には玉峰館の門扉の近くにある温泉櫓から湧き出す三菊湯という自家源泉を使用しています。この源泉にもメタケイ酸が豊富に含まれているため、湯上がりはお肌がしっとり。
ほかの貸切風呂には黒色で統一された「石風呂 光風(こうふう)」と隣接した温泉櫓から吹き上がる湯煙が楽しめる「噴湯風呂 夕凪(ゆうなぎ)」があります。予約制で1回40分間の利用ですが、空いていれば何回でも無料で入れます。
客室は露天風呂付き離れから広縁付和室まで5タイプ
伝統とモダンが調和したくつろげる雰囲気の客室は全16室。露天風呂付き離れ(和洋室または洋室)と露天風呂付き客室はインテリア・デザイナーの内田繁氏のデザインです。ほかには大正モダンツイン、広縁付(和室または和室ベッドタイプ)の客室も用意。客室露天風呂も、もちろん源泉かけ流しです。
美しい日本庭園の景観や新日本料理を楽しむ
玉峰館を訪れて印象的なのは、池を中心とした美しい回遊式庭園。池の回りを歩くことで景観の変化を楽しめるように設計されています。昼は自然と調和した佇まいを、夜はライトアップされた幻想的な景観を楽しむことができます。
ダイニングのテラス席からも庭園を眺めることができます。こんな素敵な場所でお茶を飲みながら、のんびり過ごしたいですね。
また、玉峰館の食事は伊豆の旬の食材を使い、伝統的な日本料理に現代的な洋の調理法を融合させた新日本料理。夕食はメインの肉料理と魚料理各3品から好みの2品が選べるプリフィックス・スタイルです。
玉峰館は「くつろぎ」「湯」「食」「景(景観)」の極みを目指し、上質な空間の中で大人がゆっくりと過ごせる宿。都会の喧騒から離れて静かに過ごしたい時や、大切な人との休日に利用してみてはいかがでしょうか。
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