静岡市 おふろcafé 美肌湯(bijinyu)
温泉マニア好みの2種類の源泉と
長時間滞在したくなるオシャレな空間
美肌泉質の籠上温泉とカブラヲ温泉を楽しめます
JR静岡駅北口から車で10分ほどのところに位置する「おふろcafé 美肌湯(bijinyu)」。「美肌湯」と書いて「びじんゆ」と呼びます。
「おふろcafé」といえば、埼玉県や三重県に店舗を展開し、癒しの空間が人気の温浴施設。2015年にリニューアルオープンした「おふろcafé 美肌湯」はフランチャイズ一号店になります。
建物の後方には賤機山(しずはたやま)が位置し、静岡市街地にありながら緑に抱かれたロケーションです。
井伊湯種(いいゆだね)は「おふろcafé 美肌湯」の取材をとても楽しみにしていました。「とても珍しい泉質らしい」という噂を聞いた温泉友だちのクロちゃん氏が今回の取材に先行して偵察に訪れ、太鼓判を押してくれたため、胸が高鳴ります。
館内に入る前に敷地の一角に自家源泉(籠上温泉)を販売する温泉スタンドを発見し、さらにテンションがアップ!
「おふろcafé 美肌湯」のコンセプトは「和」。和モダンのオシャレな空間の中で長時間過ごせるようにいろいろな趣向を凝らしています。営業時間は10:00〜翌朝9:00の23時間営業。利用料金はフリータイム制と時間制があり、受付で希望を告げます。また、早朝5:00からは朝風呂入館もできます。
館内の内装は季節ごとに変更され、取材時は秋をテーマにした装いになっており、紅葉した落葉が効果的に使われていました。冬のシーズンにはラウンジに暖炉が灯ります。
ラウンジにはコーヒーが用意され、飲み放題です。
床に座ってくつろげる和の空間ではスタイリッシュなあぐら椅子も用意されています。
茶室仕様のスペースもあり、こちらでは本格的な茶の湯ができるようになっています。
「おふろcafé 美肌湯」のこだわりの一つが書籍ライブラリ。ベストセラーの小説はもちろん、ジャンルを問わず、さまざまな書籍を用意しています。雑誌・漫画本などをあわせて1万冊以上の蔵書がありますので、読みたい本が見つかりそうですね。
BGMも1日全て異なる音楽を流しており、季節ごとに3,000曲を選曲しているそうです。ありふれたものを使うと有線だと思われてしまうので、オリジナル感を大切にしており、選曲するのに丸2日はかかるそうです。
pH9.9の高いアルカリ性を誇る籠上温泉は美肌の湯
「お風呂café 美肌湯」の建物は20年前位に建てられたものです。リニューアル前は「静岡温泉 美肌湯」という名称で親しまれてきました。
昔から籠上温泉(かごうえおんせん)とカブラヲ温泉という泉質の異なる2つの温泉が楽しめることが温泉愛好家の間で人気でした。浴室は昔と変わらず、2つの源泉を利用しています。
籠上温泉の源泉は賤機山の麓から湧き出しており、敷地内に温泉の井戸があります。
籠上温泉はメインの大浴槽で使用されており、無色透明でpH9.9という高いアルカリ性のお湯です。泉質は単純硫黄温泉。浴感はヌルヌル系でなく、キュコキュコ系。肌がツルツルになる美肌の湯です。
あつ湯やぬる湯などの湯船が用意され、ぬる湯では37℃位の不感温浴を楽しむことができます。体温に近い温度のために熱くも冷たくも感じず、エネルギーの消費も一番小さくなります。長湯をすることができ、湯種のようなぬる湯好きにはたまりません。しかも籠上温泉の源泉がかけ流しにされています。源泉の温度は41℃位ですが、自然にぬる湯になっているのも素晴らしいですね。
下の写真ではわかりにくいかもしれませんが、不感温浴の湯船では肌への泡付きが若干あり、炭酸成分が多く含まれているのか、お湯のポテンシャルが感じられワクワクしました。
強烈な硫黄臭のカブラヲ温泉は美白の湯
続いて源泉かけ流しのカブラヲ温泉に入りました。まずは強烈な硫黄臭に大興奮。同じ静岡市内にある平山温泉よりも強烈です。アブラ臭も感じられる、とろみのある黒色のお湯は、「うわぁ」と声が出るほどのインパクトがあり、泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉。硫黄分を豊富に含み、硫黄はメラニン色素の排出を助け、美白効果があると言われています。源泉の温度は27.6℃位。入浴に適した温度に加温してかけ流しにされています。
カブラヲ温泉の源泉は「おふろcafé 美肌湯」から車で15分位の距離にある西ケ谷カブラヲという場所からタンクローリーで運ばれてきます。「おふろcafé 美肌湯」では専用のタンクローリーを2台保有し、1台が1回に運ぶ量は40t。1日に6回も運搬が行なわれ、合計240tの源泉が1つの湯船でかけ流しにされています。運び湯とはいえ、あなどれません。湯遣いにこだわりが感じられ、あまり温泉のイメージのない静岡市街でこんな素晴らしい温泉に出会えるとは思いませんでした。
また、籠上温泉を利用したメイン湯船の縁に「お風呂で読めるマガジン」が置いてありました。これは「おふろcafé 美肌湯」が開発した、水にぬれない素材でつくられた期間限定の入浴用マガジン「OFFRO」です。これまで湯船の中で文学系のお風呂本を読んだことはありますが、地元の情報誌を読んだのは初めて。とてもめずらしいと思います。ますます入浴時間が楽しくなりますね。
反対側の湯船は座り湯になっており、微泡湯を楽しめるようになっています。湯口からは籠上温泉が勢い良く注がれ、思わず頭から被ってしまいました。ジェットによる細かな気泡が全身をほぐしてくれます。
腰掛け湯もあり、ゆっくりと腰掛けながら籠上温泉を楽しめます。首筋から背中、腰にかけてジワジワと温泉が包み込み、疲れを癒せます。
浴室内には蒸し風呂(高温サウナ)もあります。
たっぷり汗をかいたあとは「かけ水」をして水風呂へ。「かけ水」のスペースが専用に設けられているのはめずらしいと思いました。
冷水が苦手な方はシャワーやかけ湯で汗を流すのも良いですね。洗い場のシャワーやカランには井戸水を使用。やわらかな肌ざわりです。
水風呂の近くには休憩スペースも用意されています。
お湯の鮮度を感じられるかけ湯も印象的でした。
また、浴室の中で見逃せないのは源泉蛇口が設けられていること。この蛇口をひねると籠上温泉の源泉が惜しげもなく出てきます。飲泉はできませんが、主に洗顔に使われているそうです。高いアルカリ性の温泉は化粧水代わりにも使われるほどですから、この源泉で顔を洗えば肌がツルツルに。ぜひ利用してみてください。
女湯には「温泉泥パック」を用意
女湯の浴室は男湯よりも広い造りになっています。お風呂の種類は男湯と同じですが、女湯のみ「温泉泥パック」が用意されています。
温泉泥パックはカブラヲ温泉を利用しており、美白効果も期待されます。洗顔後、10円玉程度の厚さで顔に均一に塗り、10分ほど浸透させて洗い流します。肌がしっとり潤うのでとても好評とのこと。お風呂で2つの美人泉質を楽しみ、源泉蛇口で顔を洗い、仕上げに温泉泥パックをすれば、最強の美人コースになりそうですね。
温泉泥パックはカブラヲ温泉を利用しており、美白効果も期待されます。洗顔後、10円玉程度の厚さで顔に均一に塗り、10分ほど浸透させて洗い流します。肌がしっとり潤うのでとても好評とのこと。お風呂で2つの美人泉質を楽しみ、源泉蛇口で顔を洗い、仕上げに温泉泥パックをすれば、最強の美人コースになりそうですね。
パウダールームは温かな雰囲気。脱衣所のロッカーの色は、男性はグリーンですが、女性はやわらかなピンク系です。
静岡の食材や発酵食品を使ったメニューを用意
温泉を満喫したあとは思う存分、くつろぎの時間を過ごしましょう。浴後に欠かせないのは、もちろん冷えたビールですね。「おふろcafé 美肌湯」には静岡市の地ビール醸造所「AOI BREWING」のビールが揃っているので、湯上がり後の楽しみが広がります。
お腹が空いたら2階のカフェ&レストランへ。地元静岡の食材や醤油麹や塩麹などの発酵食品を使用したメニューが特色です。食事メニューは2018年10月末にリニューアルを行なっており、その中でも注目は玄米。3日寝かせた「寝かせ玄米」を使用し、とてもモチモチしていて食べやすいそうです。食事メニューは白米と寝かせ玄米から選べるようになっていますが、7割位のお客さまは寝かせ玄米を選ぶとのこと。
わさびは有東木(うとうぎ)から仕入れたものを使用しています。有東木は静岡市街から車で1時間ほどのところに位置し、わさび発祥の地。標高800メートルの地にわさび田が広がっています。自分ですりおろした新鮮な有東木わさびとかつおぶしをご飯にのせた「わさびご飯」は絶品です。
ほかには富士山麓の朝霧高原で育てられた豚と醤油麹を使ったポークジンジャーや静岡県産の銘柄鶏「ふじのくにいきいきどり」を使った鳥の唐揚げなどが人気だそうです。
デザートは富士宮市にある「井出種畜牧場」通称「いでぼく」の牛乳を使ったソフトクリームも人気があります。そのソフトクリームを使ったパフェもおすすめ。
バスタブソファーやハンモックなど、
滞在を楽しめる仕掛けがいっぱい
くつろぎ空間で一番人気はバスタブソファー。まるでお風呂に入っているかのような妙に落ち着ける空間になっており、電源コンセントも用意されています。
また、ゆらゆら過ごせるハンモックも人気。3基のハンモックはすぐにうまってしまうそうです。
湯冷めが心配な方にはガウン形の「着る毛布」が用意されています。
おひるねラウンジには1人掛けのリクライニングチェアやマッサージチェア、2人掛けのカウチソファの3種類が用意され、ゆっくり過ごすことかできます。前方の大きな窓から見えるのは賤機山の斜面。昼は緑の眺めに癒され、夜は山の斜面のライトアップも楽しみです。
押入れの隠れ家のようなスペースは「ヒトシェルフ」と呼ばれており、とても落ち着く空間。狭いところが好きな人にはたまらないものがあると思います。
豊富なライブラリの中から好みの書籍を選んでゴロゴロ過ごすのも良いですね。心地よいビーズクッションにもたれかかれば、もう動けません。
ボードゲームなどもありますので、友だちや家族で楽しむこともできます。
また、iMacが3台用意されたワーキングスペースもあります。フリーWi-Fiや電源も使えますので、自分のパソコンを持ち込んで作業することもできます。
1人でゆっくり休みたい時は仮眠室「うたたね処」へ。男女共用と女性専用スペースがあり、ブランケットも用意されています。
くつろぎ過ぎて帰りたくなくなった場合も、宿泊することができますのでご安心を。利用料金に深夜追加料金をプラスすれば、翌朝9:00まで滞在できます。
湯遣いの良い温泉やインスタ映えするくつろぎスペースに強いこだわりが感じられる「おふろcafé 美肌湯」。1日中滞在する人がいたり、若い人に人気なのもわかりますね。「もっと早く来ればよかった」と後悔した湯種でした。
温泉パイプは2〜3年に1回入れ換えます
最後になりますが、取材時にちょうど温泉パイプの入れ換え作業の準備をしており、見学することができました。下の写真の黒い管が温泉パイプです。パイプに温泉成分が付着し劣化してしまうため、2〜3年に1回入れ換え作業を行なっているそうです。
運営会社がもともと土木系の設備会社のため、クレーンを使い自社ですべての温泉パイプの交換を行なっているそうです。こうした定期的なメンテナンスが施されることでトラブルを防ぎ、質の高い温泉が供給されているわけですね。いつも見られるものではないので、貴重な体験に感謝するとともに1本1本の温泉パイプに愛着を感じてしまいました。
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