沼津港深海水族館(シーラカンス・ミュージアム)
日本で唯一の深海生物をテーマにした水族館
レプリカではなく、本物のシーラカンスを展示
沼津港深海水族館(シーラカンス・ミュージアム)は、「駿河湾を味わう街」をコンセプトにした人気の複合施設・港八十三番地内にあります。
6月最後の日曜日、「浜焼き しんちゃん」でランチを楽しんだ後、沼津港深海水族館へ向かいました。チケット売場には行列が出来ていて、人気のほどがうかがえます。
沼津港深海水族館は井伊湯種(いいゆだね)お気に入りのミュージアムの一つ。2014年に世界初の深海生物をテーマにした水族館としてオープンしました。ここでは多くの深海生物や、レプリカではないシーラカンスの冷凍2体と剥製3体を見ることができます。
駿河湾は日本で最も深い湾で、その最深部は2,500mもあります。一般的に200m以下を深海といい、駿河湾には豊富な深海生物が生息しています。深海には光が届かない闇と低水温、想像を絶する水圧があり、その中で生きる深海生物の生態は秘密のベールに包まれています。何を食べて生きているのかわからない生物もいて、手探りで飼育をしているそうです。飼育も難しい、希少な深海生物に出会うことができる水族館です。
深海をイメージした館内は1階と2階に分かれ、200種類ほどの深海生物を展示。それぞれの生物に合わせた環境を作るため、小さな水槽が多くなっています。
1階は「浅い海・深い海」をはじめ、「ヘンテコ生き物」、「駿河湾大水槽」、「深い海」、ヒカリキンメダイを展示した「深海のプラネタリウム」などのコーナーがあります。照明はLEDなど、生物に影響のないライトを使用。ここにいるだけで深い海の底にいるように感じられます。
「浅い海・深い海」コーナーでは、深さの違う海で生息するサンゴなどを比較することができます。「浅い海」と「深い海」とを比較展示している水族館はほかにはないそうで、海の深さによる同じ特徴を持った生物の違いがわかる展示です。
「駿河湾大水槽」にはタカアシガニが展示されており、あまりの迫力で目が釘付けになってしまいました。この水槽では駿河湾の水深300m付近の海底が再現され、地元の深海底引き網漁で捕獲された生物が展示されています。
「深い海」は可愛らしいものやチャーミングなものなど、ユニークな深海生物を展示しているコーナーです。人気ナンバーワンのメンダコは、この日は残念ながら展示されていませんでした。メンダコは獲れる時期(10月〜5月)と場所が限られ、飼育が非常に難しいため、常設展示は世界中のどの水族館でも成功していないのだそうです。しかし、1〜3日くらいの飼育が一般的と言われるなか、沼津港深海水族館では52日間の飼育記録を持っています。
また、沼津港深海水族館では2019年5月にメンダコの孵化に成功しました。国内では東京都内の水族館に続き、2番目の成功事例だそうです。飼育日数は7日間でしたが、今後が楽しみですね。メンダコの展示状況は水族館のホームページで確認できますので、チェックしてみてください。
メンダコは見られませんでしたが、ツチモチダコの姿を見ることができました。沼津ではトロール船(底引き網船)で獲れるタコということで「トロダコ」とも呼ばれています。なかなか顔をみせてくれませんでしたが、ユニークな姿を観察できました。
2階はシーラカンス・ミュージアム
2階はシーラカンス・ミュージアムになっており、シーラカンスの冷凍2体と剥製3体が展示されています。どちらも日本ではここでしか見られない貴重なものです。
「生きた化石」と言われるシーラカンスは1938年、南アフリカで発見されました。大昔にすべて絶滅したと考えられていましたが、3億5000万年前と変わらぬ姿で生き続けていました。現在ではこれまでにアフリカ(南アフリカ、コモロ諸島、タンザニア)とインドネシアで見つかっています。
ここに展示されている5体は、1981年、日本シーラカンス学術調査隊が現地と協力して捕獲したものとのこと。ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)で正式に展示が認められているそうです。
シーラカンスは背骨がなく、しばしば逆立ちをして魚やイカなどを食べるとのこと。その不思議な体の構造や生態などはCTスキャンや映像によって深く知ることができます。
また、ここではイベントとして「シーラカンス解説」などが行なわれています。子供から大人までシーラカンスについて、楽しみながら学ぶことができます。
2階ではシーラカンスの展示だけでなく、「透明骨格標本」や「深海の世界」コーナーなどがあります。
「透明骨格標本」コーナーでは、特殊な薬品で筋肉を透明化し、骨を染色した標本を展示。深海生物の骨格をじっくり観察することができます。
これらの透明骨格標本の美しさは感動的でした。
深海魚ファンでなくても、うっとりしてしまいます。
また、「深海の世界」コーナーでは、湯種の大好きな「ダイオウグソクムシ」に会うことができました!
メキシコ湾に生育する「ダイオウグソクムシ」はダンゴムシやフナムシの仲間で、体長が最大で50cm までにもなります。海底に横たわる魚などの死骸など、何でも食べることから、「海の掃除屋」とも呼ばれています。あまり動かず、このもっさりとしたルックスは、1度見たら忘れられません。
「ダイオウグソクムシ」の水槽は水深800mの水温5℃に保たれています。水槽のそばに水温が体感できるパイプが設置されていますので、水深800mの水温を体感してみてください。
2階にもさまざまな深海生物が展示されていて、イガグリガニも印象に残った生物の一つ。体がイガのような棘で覆われた深海性のヤドカリの仲間だそうです。
深海生物をモチーフにしたミュージアムグッズが勢揃い
沼津港深海水族館の楽しさは展示だけではありません。ミュージアムショップ「ブルージェリー」では、深海生物をモチーフにしたグッズがズラリ。シーラカンスや湯種の大好きなダイオウグソクムシのぬいぐるみもありました。
色違いも気になります。
深海魚生物チョコレートや沼津港深海水族館オリジナル「深海生物こまんじゅう」なども人気です。
ダイオウグソクムシをモチーフにしたお菓子も魅力的です。
そのなかでも1番人気は「ふわふわメンダコS」とのこと。ミュージアムショップでもメンダコが人気ですね。確かに、クセになりそうなふわふわとした手触りが心地よかったです。
ミュージアムショップの出口では、メンダコがお見送り。それを見た瞬間に「また来たい!」と思った湯種でした。
湯種もイチオシ!
大人も子供も楽しめるミュージアム
展示を一つひとつじっくり見ていくと、それぞれ見応えがあり、面白さがありました。CGや映像なども興味深く、深海生物の魅力が伝わってきます。まさに深海は未知の世界。沼津港深海水族館(シーラカンス・ミュージアム)は子供だけでなく、大人も楽しめる水族館だと思いました。
2019年7月20日、水族館の展示エリアが拡張
2019年7月20日より2階の「深海世界」から繋がる展示エリアが拡張されました。駿河湾で捕獲された深海生物を始め、駿河湾で行なわれている「深海底引き網漁」を紹介するジオラマ、駿河湾で捕獲された希少な深海ザメ、深海エイの剥製展示などにより、さらに深海生物の宝庫「駿河湾」をディープに紹介する展示内容になっているそうです。ますますパワーアップした沼津港深海水族館(シーラカンス・ミュージアム)へ、ぜひ訪れてみてください。
また、2019年7月8日には「港八十三番地」が拡張オープンし、ライド型のシューティングアトラクションや新しい飲食店が加わって、さらに魅力的なスポットになりました。水族館入館料のレシートを提示すると、当日に限り、港八十三番地にある食事処で10%割引のサービスが受けられます。こちらも利用してみてください。
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