静岡県三島市 竹倉温泉 みなくち荘
※2019年7月に再取材を行ない、記事をアップデートしました。
日帰り入浴で濃厚な「赤湯」と田園風景を楽しむ
井伊湯種を温泉マニアにしたルーツの竹倉温泉
富士山や箱根などからの湧水が豊富な三島市竹倉。こちらは昭和初期から鉄分を多く含む竹倉温泉の湯治場として親しまれてきました。竹倉温泉といえば、独特な「赤湯」が温泉マニアの間で有名です。もちろん、井伊湯種(いいゆだね)の大好きな温泉の一つ。20年前から数えきれないくらい訪れています。
そもそも、湯種が本格的に温泉好きになったのは、竹倉温泉に出会ったのがきっかけです。働き盛りの30代半ば、スルガ銀行本店(沼津市)に勤務していたころ、休日に憩いを求めて近場の温泉を巡っているときに、たまたま見つけたのが「竹倉温泉」の看板でした。
当時は伯日荘(長期休業中)や錦昌館(2018年3月に廃業)も営業中で、この赤湯(オレンジ系の赤茶色)がとても気に入った湯種は、みなくち荘を含む3軒の宿を順番に回っていました。現在では、「みなくち荘」が竹倉温泉で唯一営業している施設になってしまいました。
みなくち荘の創業は昭和38年(1963年)。もともとは温泉宿でしたが、13年前に日帰り入浴のみの営業となりました。JR三島駅南口から車で15分ほどの田園地帯に佇んでいます。
玄関を入って左側が受付になっており、昭和の雰囲気が漂うロビーに飾られた武士の鎧兜と大黒様が印象的です。
湯種は現在、沼津に住んでおり、週末にはたびたび「みなくち荘」を訪れています。頻繁に通っているのは、赤湯の魅力はもちろん、いつ訪れてもあたたかく迎えてくれるご主人と女将さんの存在も大きいです。館内には湯種タオルと湯種手ぬぐいの両方を掲示してくれています。
館内には以前はなかった鍵付きロッカーが備えられました。貴重品を預けられるので安心です。
浴室は手前が女湯、奥が男湯になっています。
女将さんの手作りの暖簾をくぐると、そこは洗面所。その先にシンプルな脱衣所があります。
浴室は男女ともに内湯が一つのみ。丸いタイル張りのレトロな浴室の大きな窓からは田園風景が眺められ、窓を開ければ心地よい風が感じられ、半露天風呂の風情が感じられます。
源泉は15~18℃の冷鉱泉のため、加温して浴用にしています。それにしてもこのお湯の色はスゴイ。赤湯というよりも、オレンジ色が混じった茶色です。「泡もでていて、クリーミーなカプチーノのような感触です!」と興奮気味に語るのは、取材に同行した温泉ソムリエの佐藤ガチャ氏。お湯の色が濃く、肌触りも濃厚な感じですが、お湯自体はマイルド。pH値を測れば、8.12の弱アルカリ性でした。
鉄分が豊富に含まれ、膝の痛みや肩凝りによく効くというお湯は、血液の循環を良くし、身体の芯まで温めてくれます。入っているとジワジワと効いてくるような感じ。色付き温泉が大好きな湯種にとって、いつまでも入っていたくなる素晴らしいお湯です。湯種が「色付き温泉」好きになったのは、この赤湯の影響が大きいと思います。
女湯は男湯とほぼ左右対称の造りになっており、窓の外にはのどかな田園風景が広がります。改めて浴室を眺めると丸いタイルで彩られ、そのデザインは見事。古き良きタイル職人の技が駆使されています。
また、洗い場にはケロリン桶が置かれ、シャンプー・リンス、ボディーソープが備えられています。洗面所にはドライヤーも用意されていますので、タオル類など最小限の持ち物で訪れることができます。
自家源泉は畑の中、源泉口を見学しました!
源泉は敷地内の畑の中にあり、気さくで話好きの女将さんに案内していただきました。井戸の深さは約5メートル。源泉口を見学することができて大興奮の湯種でした。
井戸の中から汲み上げた源泉は、ほのかな黄褐色。女将さんが源泉にお茶を入れると、黒褐色に変わりました。これは緑茶の中のタンニンが鉄のイオンと反応して色の変化が起こるもので、温泉に含まれる鉄分の多さを調べることができます。こうした実験は実に感慨深く、とても楽しい時間を過ごしました。
畑の下から湧出する源泉は、数メートル離れたタンクに貯められ、加温されたあとで湯船に注がれています。源泉口から湯船までは至近距離にあり、お湯の鮮度は抜群です。
大広間から田園風景の眺めを楽しむ
みなくち荘では、大広間での休憩入浴(1,200円)がおすすめ。赤湯をゆっくり楽しんだあとは、休憩をかねてのんびり過ごすといいでしょう。お風呂や大広間からは田園風景の眺めと女将さんが植栽した季節の花々が楽しめます。食事処はありませんが、持ち込みOK。お茶はセルフサービスで、飲み物の自動販売機もあります。
また、ロビーの休憩スペースの一角には女将さんの集めた本がズラリ。自由に読むことができるので、読書をしてのんびり過ごすのも良いかも知れませんね。
かつてマッサージチェアが置かれていた浴室入口の廊下には、現在は複数の健康器具が置かれるようになりました。女将さんの健康志向が反映されているようです。
湯種もイチオシ!
多くの人に竹倉温泉を知ってほしい
このように昭和レトロな雰囲気の中、竹倉温泉の赤湯が楽しめるみなくち荘。地元に住んでいても知らない人が多いというマイナーな温泉ですが、無色透明の温泉が多い伊豆エリアでは、とても希少な色付き温泉ですので、ぜひ行ってみて欲しいと思います。
湯種は「みなくち荘」が大好きで、その温泉の素晴らしさを1人でも多くの方に伝えたいと思い、テレビ出演の際に何度も紹介しています。ご主人にお話を伺ったところ、「おかげさまで最近ではお客さまが増え、神奈川や東京から来てくれる方も増えた」、「井伊部長のレポート(初回は2014年に掲載)を見て、初めて来る方も多い」そうです。
取材時にも千葉方面からたびたび訪れる方と一緒になりました。女将さんによれば、「腰や膝の痛みで訪れている様子。入浴後は元気になって帰っていく」とのこと。温泉の効能も魅力的な竹倉温泉に浸かれるのは、現在、「みなくち荘」のみになってしまいましたが、いつまでも営業を続けていって欲しいと思います。
蛇口から出てくる湧水も名物
「みなくち荘」の蛇口から出てくるのは、すべて湧水。水道水と違い、まったく塩素臭のしない水であり、これが本当に美味しいのです。浴室のカランやシャワーにも湧水を利用しているので、塩素臭が苦手な温泉マニアにとって、これはとてもうれしいこと。「この水は美味しいね」と言ってペットボトルに汲んで持ち帰る人もいるそうですので、「みなくち荘」に行かれた際は、ぜひ味わってみてください。
三島駅からバスで訪れることもできます!
バス停「竹倉温泉」からは徒歩1分
また、マイカーで訪れる方が圧倒的に多い「みなくち荘」ですが、JR三島駅南口からバスで訪れることもできます。バス停「竹倉温泉」からは徒歩1分ほどの距離。案内看板があるので、わかりやすいと思います。下記に「みなくち荘」周辺の画像をアップしましたので、参考にしてください。
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