かめや惠庵 伊豆長岡温泉
伊豆長岡の小高い山の中腹に佇む和風旅館
富士山の見える露天風呂や足湯付きの岩風呂を楽しむ
伊豆半島の玄関口としてアクセスの良い伊豆長岡温泉。伊豆長岡温泉は源氏山を中心にして東側と西側に温泉街が広がっています。伊豆長岡駅から車で7分ほど、長岡地区の小高い山の中腹に佇む和風旅館「かめや惠庵(かめやえあん)」を訪ねました。
宿に到着し、車から降りた瞬間に深い緑の香りを感じました。かめや惠庵は建物周辺の山を含め9,000坪の敷地を所有し、緑豊かな高台に位置しています。
かめや惠庵が旅館の営業を始めたのは昭和37年。もともと「かめや」という下駄屋さんだったそうで、その屋号と先代の女将さんの名前の一字「惠」を用いて宿名が付けられました。
宿名の「かめや」にちなみ、玄関やロビーには亀のインテリアが飾られていました。
フロント・ロビーは温かみが感じられ、落ち着ける雰囲気の空間が広がっています。
館内は本館や新館/花の院、別邸惠庵に分かれ、客室は全22室。平成8年に新築した花の院が最も人気だそうで、井伊湯種(いいゆだね)は花の院の4階の客室に宿泊しました。
落ち着いた雰囲気の和室で間取りは12.5畳。広縁にはイスとテーブルが置かれ、窓の外に広がる伊豆長岡温泉街の風景を眺めることができます。この日は見えませんでしたが、天気が良ければ富士山を望めます。
テーブルの上には「かめや」の宿名入りの温泉まんじゅうが置かれていました。この温泉まんじゅうは老舗和菓子店「柳月」からその日の朝につくったものを届けてもらっているそうです。
「柳月」の温泉まんじゅうは、ふわっとした食感でやさしい甘さの絶品。湯種は伊豆長岡温泉の帰りによくお土産に買って帰ります。それを宿で楽しむことができてうれしかったですね。
真綿のように体を包み込む伊豆長岡温泉
温泉まんじゅうとお茶で和んだあとは大好きな温泉へ。かめや惠庵では伊豆長岡温泉を楽しむことができ、お風呂は男女別の大浴場のほか、「富士見の湯」と「大岩の湯」があります。
まずは1階にある男性用大浴場「旅人(たびと)の湯」に入りました。こちらには内湯と露天風呂があります。
脱衣所はシンプルな雰囲気。ゆったりとした空間を確保しています。
広々とした内湯は大きな窓に面しており、開放的です。
内湯からは庭の木立を眺めることができ、癒されます。
お湯には強いヌルつきがあり、真綿に包まれているような心地よさを感じました。泉質はアルカリ性単純温泉です。
同じ伊豆長岡温泉でも源泉がほかの旅館よりも濃いように感じたので、ご主人にお伺いすると「伊豆長岡温泉は源泉保護のため集中管理方式を採用しているので、同じお湯ですよ」とのこと。
湯遣いについては源泉の温度が約60℃と熱いので湯船にまずお湯を入れ、入浴に適した温度にするために加水をして調整をするそうです。そのあとは湯口から常に新しい源泉を投入しているので、時間が経つにつれ源泉100%になっていくそうです。たまたまそうしたタイミングの時に入ったのかもしれませんが、同じ泉質でも微妙な差を体感するのも温泉の楽しみ方の一つです。
露天風呂は野趣あふれる岩造り。さわやかな風を感じながらの湯浴みは至福の時間です。
この日は露天風呂のほうが熱めの温度でした。湯上がり後は肌がツルツルに。美肌の湯を実感することができました。伊豆長岡温泉は刺激の少ないやさしいお湯のため、お子さまから高齢の方まで安心して入浴することができます。
女性専用大浴場「惠(めぐみ)の湯」は男湯と同様に内湯と露天風呂で構成されています。まず印象的だったのは脱衣所です。仕切りに可愛らしい模様の入った曇りガラスを用いており、オシャレだと思いました。
男湯の内湯は壁の色をグレーと黒を基調にしているのに対して「惠の湯」の内湯の壁はうすいブラウン系。やわらかな印象があります。
岩造りの露天風呂では外気を感じながら心身ともにリフレッシュできます。
貸切露天風呂として利用できる
「大岩の湯」と「富士見の湯」
「大岩の湯」と「富士見の湯」は別邸4階に位置し、14:30〜21:50は貸切露天風呂として無料で利用できます。チェックイン後、フロントで予約することができ、1回40分間利用できます。
「大岩の湯」は足湯付きの露天風呂です。手前が足湯になっており、奥が露天風呂という変わった造りになっています。もともと足湯処だったところに後から露天風呂の湯船を増設したそうですが、露天風呂と足湯が両方楽しめるのは珍しく、面白いと思いました。
露天風呂は山の中の秘湯のような雰囲気。目の前に山肌が迫り、自然の息吹が感じられます。草木の香りとともに花の香りなのか、ほのかに甘い香りも感じられ、思わず深呼吸をしてしまいました。
さりげなく置かれた流木も風情があります。
脱衣所の建物を取り囲むようにしてつくられているL字型の足湯は幅が広く長さもあります。この足湯で小さな子どもを遊ばせて楽しむ家族連れの方もいらっしゃるようです。大人でもワクワクするものがありますから、お子さまはさぞ大喜びのことでしょう。
足湯の一部に玉砂利が敷いてあり、足裏に心地よい刺激を感じました。ここでは歩行浴も楽しむことができます。
露天風呂の脇には可愛らしい親子かえるの石像があり、見ていると和みました。
大岩の湯には洗い場がありませんので、大浴場に入ってからの入浴をおすすめします。
「富士見の湯」は天気の良い日には雄大な富士山が見える絶景露天風呂です。幅6メートル、長さ12メートルというゆったりしたサイズの湯船では思わず泳ぎたくなります。
洗い場にはカランが6つ備えられ、ゆとりのあるスペースが確保されています。
洒落た雰囲気の脱衣所は丸型の脱衣籠が12個ほど置かれ、鍵付きのミニロッカーも備えられていました。化粧台にドライヤーが2台置かれ、洗面台もオシャレです。
富士見の湯と大岩の湯は22:00〜24:00、6:00〜10:00は男女入れ替え制の予約のいらない時間帯に変わります。22:00以降に富士見の湯、早朝に大岩の湯に入りましたが、どちらのお風呂も誰も入ってこなくて貸切状態でゆっくり入れました。
同じフロアに湯上がり処があり、無料のマッサージチェアやテレビが設置されています。そのすぐ近くの廊下にはウォーターサーバーもあります。朝風呂のあとにマッサージチェアに座り、正面に備えられたテレビを見ながら、あまりの心地よさにウトウトしてしまいました。
別邸惠庵には源泉かけ流しの露天風呂付き客室を用意
別邸惠庵には露天風呂付き客室が4室あり、ワンランク上の上質の空間です。落ち着いた佇まいの客室では部屋にいながら100%源泉かけ流しの伊豆長岡温泉を楽しむことができ、心身を休めることができます。
その中から6階の客室2室をご紹介します。
観月(みづき)の客室は8畳の和室+10畳の洋室で構成された和洋室。洋室にはセミダブルのベッドが2台置かれています。
室内に内風呂と露天風呂があり、檜の露天風呂で楽しめるのは100%源泉かけ流しの伊豆長岡温泉です。
源泉の温度管理に気を配っており、10時頃から湯船に源泉を入れ始めます。源泉の温度が60℃位と高いため加水せずに調整するには、源泉の湯量を調整しながら少しずつ貯めていき13時30分頃には目標値の42℃にしていくそうです。季節や気候により源泉の温度や外気温が異なるため、湯船のタイプにあわせ、夏と冬のデータに基づいて毎日湯量を計測したうえでかけ流しをしているそうです。
源泉の温度管理はとても大変そうですが、その甲斐あり宿泊者は源泉そのものを楽しむことができます。これはとても贅沢なことだと思います。
湯あがり後は外の景色を眺めながらのクールダウンもおすすめです。ベランダにはイスとテーブルが置かれ、ここからは伊豆長岡温泉街や遠くに山の景色を望むことができ、天気が良ければ富士山も見えます。目の前に広がる景色を楽しみながら過ごせば、心身ともにリフレッシュできますね。
また、客室「不二」は8畳 と 10畳の二間続きの和室になっており、内風呂と陶器の湯船を用いた露天風呂を備えています。
8畳の部屋にはマッサージチェアが置かれており、思う存分くつろげます。
露天風呂は洗い場を含め、ゆったりとした空間を確保しています。湯船と洗い場は黒で統一され、木の床とのコントラストが素敵ですね。
こちらは洗面所から露天風呂を撮影しました。洗面所も黒を基調としていてオシャレです。
こちらの客室からも絶景が眺められます。