さかなやステイ
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レトロな温泉街の中にある
伊豆長岡の未来をつくるコンテナホテル
老舗旅館の跡地に生まれた
「いずなかビレッジ」と「さかなやステイ」
静岡県伊豆の国市にある伊豆長岡温泉は、約1300年の歴史を持つ伊豆有数の温泉地。
伊豆半島観光の拠点としても便利な場所にあり、近隣には「伊豆パノラマパーク」や「伊豆・三津シーパラダイス」といった観光施設があり、また修善寺方面へも車で15分ほどの距離です。
中伊豆だけでなく、西伊豆や東伊豆方面へもアクセスしやすく、伊豆観光のベースとして利用するにもぴったりな場所にあります。
伊豆長岡温泉は、源氏山を挟んで東側の古奈地区と、西側の長岡地区から成り立っています。
源頼朝や北条政子が湯治に訪れたとも伝わる古奈地区に対し、長岡地区の温泉場エリアは、明治から昭和にかけて発展した温泉街。
団体旅行が盛んだった頃には大型旅館が立ち並び、温泉街の中心地として賑わいを見せていました。
現在も「温泉場出逢い通り」には、射的場や温泉饅頭店などが並び、どこか懐かしい温泉街らしい雰囲気が漂っています。
そんな温泉街に2023年にオープンしたのが、今回ご紹介する「いずなかビレッジ」内にあるコンテナホテル「さかなやステイ」です。
昔ながらの温泉街にコンテナホテル――。
最初は少し意外な組合せにも感じましたが、これが不思議なくらい地元に溶け込んでいるんです。
この場所は、もともと「さかなや旅館」という老舗旅館があった場所で、その跡地を活用して誕生したのが、「いずなかビレッジ」です。
このプロジェクトを進めているのが、「伊豆長岡温泉ミライ会議」。
賑わいある温泉場通りの再生を目指し、地域や自治体、民間事業者などが連携して立ち上げた、街づくりのための会議体です。
「いずなかビレッジ」は、「さかなやステイ」を中心に、カフェや多目的広場、夏季限定の温泉プール、RVベースなどを備えた複合施設。
単なる宿泊施設ではなく、“温泉街の新しい広場”のような役割を担っているのが特徴で、宿泊客だけでなく、地域の方々も自然と集まる場所になっています。
敷地内に建つ全7棟の独立型コンテナホテルが、「さかなやステイ」です。
ただ泊まるだけではなく、浴衣で温泉街へ出かけたり、外湯を巡ったり、イベントを楽しんだりと、“町を歩いて楽しむための宿”としてつくられているそうです。
コンテナホテルをベースにして温泉街散策を楽しめるようになっています
それでは、施設の中を見ていきましょう。
受付はセルフチェックイン方式となっており、タブレットを使って自分で手続を行います。 宿泊当日の15時以降ならチェックイン可能です。
客室はコンパクトながら機能的で、テーブルタイプ、ちゃぶ台タイプ、2段ベッドタイプなど複数の客室を用意。
最近では20〜30代のカップルや女子旅だけでなく、ワーケーション利用も増えているそうで、外国人観光客の利用もあるとのことです。
敷地内にはアプリで解錠できるスマートロッカーも導入されています。
これは伊豆箱根鉄道と連携した取組みの一つで、観光中の荷物預けとして利用できるだけでなく、地域の方が荷物や商品を受け渡しする場としての活用も想定されているそうです。
施設内にはシャワー設備はありますが、あえて大浴場は設けていないのも特徴の一つ。
その代わり、宿泊者には提携する5つの外湯から選べる入浴券が用意されています。
利用できるのは、「小松家八の坊」「福狸亭小川家」「いづみ荘」「ホテル茜」「長岡南浴場」の5施設。
それぞれ異なる雰囲気を楽しめるため、「どこのお風呂へ行こうかな」と考える時間も楽しそうですね。
また、受付スペースには宿泊者用の浴衣やタオルセットも用意されています。
チェックイン後は浴衣に着替え、そのまま外湯巡りや温泉街散策へ出かけられるようになっています。
浴衣姿で温泉街を歩きながら、お気に入りのお風呂を巡る――。
そんな昔ながらの温泉街らしい過ごし方ができるのも魅力です。
途中で温泉饅頭を買ったり、射的場をのぞいたり、夜の温泉街を散歩したりと、宿の中だけではなく、温泉街そのものを楽しめるように考えられているのが、「さかなやステイ」ならではの面白さなのかもしれません。
敷地内の「ミライ広場」では、毎月第2日曜日に「お散歩市」が開催されているほか、毎週土曜日の夜にはミニマルシェも行われています。
さらに、E-BIKEやEVトゥクトゥクのレンタルも行っているほか、夏季限定で営業する源泉かけ流しの温泉プールも併設。夏場には子ども連れのファミリーなどで賑わうそうです。
「いずなかビレッジ」が建つ場所には、かつて「さかなや旅館」という大型旅館がありました。
RC造5階建ての旅館だったそうですが、時代の流れとともに営業を終了。その後は周辺でも旅館の廃業が相次ぎ、温泉街全体で空き建物が目立つようになっていったといいます。
「いずなかビレッジ」の向かい側には、かつて温泉街の賑わいを支えていた「南山荘」の建物が今も残っています。 以前、このレポートでも紹介しましたが、南山荘は北原白秋ゆかりの宿として知られ、政治家や各界の著名人にも愛された老舗旅館でした。(2016年4月より休業中)
「伊豆長岡温泉ミライ会議」の方によると、伊豆長岡温泉は昭和の団体旅行ブームの時代、多くの大型旅館が建ち並び、企業旅行や宴会利用などで大変賑わっていたそうです。
当時建てられた旅館の多くは規模の大きな宿泊施設で、館内で宿泊、宴会、食事、入浴まで完結できる“滞在型温泉旅館”として整備されていました。
しかし、時代の変化とともに旅行スタイルも変わり、現在は少人数旅行や個人旅行が中心になりました。
そのため、大人数向けに作られた大型旅館は、老朽化や維持管理の課題を抱えるようになり、伊豆長岡温泉でも営業を終える施設が増えていったそうです。
伊豆長岡温泉ミライ会議では、そうした建物を単なる「古いもの」ではなく、「温泉街の歴史」として捉えているとのこと。
実際、「さかなやステイ」を整備する際も、かつての「さかなや旅館」の杭や庭木をできるだけ残しながら計画を進めたそうです。
昔の温泉街が持っていた空気感や記憶を残しながら、新しい旅の形へ繋げていく――。
向かい側に残る「南山荘」の建物を眺めていると、「南山荘」が伊豆長岡温泉の“過去”を、「さかなやステイ」がその“未来”を表しているようにも感じられました。
“泊まる”だけではない、温泉街との新しい関わり方が楽しめます!
最近では、若者たちが近隣の空き家をリノベーションして宿を始めるなど、新たな動きも出てきているそうです。
浴衣で外湯へ向かったり、E-BIKEで周辺を巡ったり。
地元の方とちょっとした会話を交わしながら、帰り道に温泉饅頭を買い、夜はレトロな温泉街をのんびり歩く――。
「さかなやステイ」には、そんな“暮らすように滞在する旅”があります。
昔ながらの温泉街の情緒を残しながら、新しい世代へと繋いでいこうとする伊豆長岡温泉。
「さかなやステイ」は、その未来を少し先取りしているような、これからの温泉街の可能性を感じさせてくれる場所でした。
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