ホテル東横 伊豆湯河原温泉
※「ホテル東横」は2020年3月に「御宿 瑞鷹」として全面リニューアルオープンしました。
このレポートは「ホテル東横」時代の記録として残しておきますが、「御宿 瑞鷹」の詳細につきましては、下記の公式HPをご参照ください。
https://oyado-zuiyo.jp/
湯河原の高台に建つ自家源泉の宿で温泉三昧
家族連れでゆっくり温泉旅行を楽しめる宿
東京からもほど近く、古き良き温泉街の風情が残る湯河原温泉。湯河原温泉の中央を流れる千歳川を境に住所が神奈川県足柄下郡湯河原町と静岡県熱海市に分かれます。静岡県側にある伊豆湯河原温泉の宿は現在4軒あり、その一つの「ホテル東横(ホテルとうよこ)」を訪ねました。
見晴らしのいい高台に位置するホテル東横は敷地内に自家源泉を所有し、絶景を望む露天風呂や立ち湯、大理石風呂、古代檜風呂など、多彩なお風呂が楽しめる温泉旅館です。
車で高台を上っていくと、温泉櫓が見えました。温泉マニアは源泉の場所を示す温泉櫓を見ると、胸が高鳴ります。案内看板に従い、右折するとすぐにホテル東横の建物が見えました。
玄関の脇には小さな池があり、水が滝のように流れていて涼しげでした。
2階が玄関・ロビーになっています。広々としたロビーは高級感があり、クラシカルな雰囲気。フロントの横に売店、ロビーの奥に喫茶コーナーがあります。
ホテル東横の開業は1964年。東京オリンピックが開催された年です。もともと東横建材という会社を営んでおり、東急東横線にかかわる仕事を請け負っていたことが社名の由来で、それが宿名にも継承されたとのこと。東急グループやチェーン展開しているビジネスホテルとは関係はなく、独立した湯河原の宿になります。
清潔感のある館内に日本情緒が感じられるインテリアが飾られ、上品な雰囲気を醸し出しています。
ホテル東横のお客さまはファミリー層が多く、夏休みの期間には90%以上がお子さまを連れて訪れるそうです。ほかの時期でもお孫さまを連れて3世代でいらっしゃるお客さまも多く、家族全員で温泉旅行を楽しめるのが宿の特色。小さなお子さま向けのキッズコーナーや子供用プールなども用意されています。
親しみやすい、公式キャラクター「ちぃ坊」
また、印象的だったのは、ホテル東横の公式キャラクター「ちぃ坊」です。温泉宿にマスコット・キャラクターがいるのは、とてもめずらしいですね。「ちぃ坊」は営業部長という役割をしているそうで、館内案内など、いろいろなところに使われています。
ロビーにはちぃ坊や湯河原町のマスコット・キャラククター「ゆたぽんファイブ」のぬいぐるみも飾ってありました。
宿のスタッフの方が作成した「ちぃ坊」の写真集もあり、見ているだけで和みました。
趣の異なるお風呂を備えた湯めぐりの宿
さて、ホテル東横にどんなお風呂があるのかと言うと、以下の写真がわかりやすいと思います。
2〜5階の各階に趣向の異なるお風呂が用意されています。4か所の大浴場(時間により男女入替制)と貸切露天風呂(有料)があり、すべてのお風呂に敷地内から湧出する自家源泉が利用されています。
神奈川県と静岡県の県境に湯河原温泉があり、静岡県熱海市側の湯河原温泉を「伊豆湯河原温泉」と呼んでいるそうです。自家源泉の泉質は弱アルカリ性の単純温泉。赤ちゃんから年配の方まで安心して入れる、刺激の少ないやさしいお湯です。また、源泉の温度は41℃。湯口に来るまでに温度が下がってしまうことから、入浴に適した温度にするため加温を行なっているそうです。
「百景の湯」と「満天の湯」で絶景温泉を楽しむ
まずは4階の大浴場から紹介します。4階にはホテル東横イチオシの絶景大露天風呂「百景の湯」と立ち湯が楽しめる「満天の湯」があります。
風情のある渡り廊下を進んで行くと、それぞれの入口があります。
「満天の湯」にはめずらしい立ち湯があります
まずは取材時に男湯だった「満天の湯」に入りました。
脱衣所の入口には女将さんが描いた絵が飾られていました。場を和ませるようなやさしい雰囲気が素敵です。
「満天の湯」は2012年5月に作られた大浴場。脱衣所にはモダンな雰囲気が漂います。
「満天の湯」には内湯と立ち湯が楽しめる露天風呂があります。
露天風呂は一番奥が立ち湯になっており、110cmの深さがあります。
このサイト「井伊部長の温泉グルメ探訪」では300軒以上の施設をご紹介していますが、その中で立ち湯を備えた施設は数軒しかありません。それだけに立ち湯のある宿はとても貴重だと思います。
立ち湯は湯船に立ったまま入るため、不思議な浮遊感があります。目の前に広がるのは箱根連山の眺め。あまりの爽快さにテンションが上がりまくりでした。
立ち湯は一般的なお風呂では得られない腰やお腹周りの引き締めに効果があり、ダイエットにも役立つそうです。
絶景大露天風呂「百景の湯」
「百景の湯」は箱根連山を一望する大露天風呂です。約55㎡の大きさで、広々とした開放感がたまりません。
ここでは野趣あふれる絶景温泉を楽しむことができます。心地よい風を感じながら、湯河原の自然や山の景色を眺めることができ、非日常空間を満喫できる露天風呂です。
自然の景観を利用して作られた湯口も素敵でした。源泉が岩の間から小川のように流れ、湯船に注がれています。湯船の一段上は源泉の湯だまりになっていて、思わずそこにも入ってみたい衝動にかられました。
洗い場も野天風呂の趣があります。冬は寒いと思いますので、ほかの大浴場で体を洗ってくるのがおすすめです。
また、「百景の湯」にはうれしいことに、蒸し風呂(スチームサウナ)が併設されていました。
ここで楽しめるのは低温のミストサウナ。体への負担が少なく、ジワジワと汗をかくことができます。
井伊湯種(いいゆだね)が訪れたのは外気がひんやりとしている季節でしたので、ミストサウナで汗をかいたあとは屋外でクールダウン。体が冷えてきたら露天風呂で温まるのがとても心地よく、蒸し風呂と露天風呂を何回も出たり入ったりして楽しみました。
お風呂上がりはのどがカラカラになり、「百景の湯」「満天の湯」の近くにある湯上り処でひと休みしました。大きな窓から外の景色が見える開放的なスペースで、ここでは水分補給ができます。
湯上り処の冷水は敷地内井戸から汲み上げた天然水。よく冷えた水が湯上りで乾いたのどにしみわたります。
夜、この湯上り処から外を眺めていると、何やらチラチラとした幻想的な光が見えました。蛍のような光り方ですが、取材時は2月末。不思議に思って宿の方に尋ねると、一年中、蛍の輝きを楽しめる演出をされているそうです。湯上り処から見える池の上に蛍の形を模したロボットを配置し、電源を入れると光る仕組みとのこと。自然の蛍と同じような光り方をするのはもちろん、一体一体光り方が異なるそうで、とても凝った演出だと思いました。6月にはイルミネーションではなく、本物の蛍の舞も見られるそうです。
世界中の大理石を集めた「大名の湯」
続いて5階の大理石風呂「大名の湯」へ。入口の雰囲気からはどんなお風呂なのか想像がつかず、ときめきを感じました。
広々とした空間が確保された脱衣所にはベビーベッドやベビーバスが置かれていました。
浴室はゴージャスな洋風のお風呂でびっくり。広々とした空間に圧倒されました。世界中の大理石を集めて作られているそうです。
大きな窓に面していて、とても明るい雰囲気。窓から見える中庭に植栽された南国の植物が異国情緒を誘います。
この浴室には、うたせ湯やジャクジーを楽しめる湯船も併設されています。
また、浴室内には「希望」という名の彫刻作品も置かれていました
「大名の湯」で印象的だったのは、湯船の中央の柱にあるスイッチを押すと、ブクブクとジャグジーの気泡が出てくる仕様になっていたこと。タイマーがセットされているようで一定の時間が経つと自動的に止まります。
うたせ湯も、スイッチを押すと上から勢いよくお湯が落ちてきます。
洗い場は壁側と窓際に設けられていました。特に窓際の洗い場は、外の景色を眺めながら開放的な気分で体を洗えるため、とても気に入りました。
しかも、窓からホテル東横の温泉櫓が見えました。温泉マニアは、これだけで何だかうれしい気持ちになります。
お風呂と源泉地の距離が近いことをしみじみ感じることができるのはもちろん、自家源泉の宿ならではの素晴らしい眺めだと思いました。これまで、お風呂から温泉櫓を眺められるところはあまりなかったような気がします。
壁側に設けられた洗い場は仕切り付きです。
窓際と壁側の洗い場では趣が異なるので、自分の好みや気分で選べるのは素敵ですね。
また、脱衣所に置かれた古い体重計も湯種好みでした。
古代檜風呂が楽しめる「大観の湯」
2階には古代檜風呂「大観の湯」があります。内湯の湯船には古代檜と呼ばれる直径2mの巨木が使われています。この古代檜は海抜2,500m以上の深山で育ち、樹齢2000年以上のもので、地震や地殻変動などで生木のまま倒され、地中に100年、200年という長い年月眠っていたものだそうです。それが地中から蘇って湯船の材質として使われていると思うと、壮大なロマンが感じられます。
以下の写真は古代檜風呂の全体が見えるように撮影したもの。湯船のすべてに貴重な古代檜が使われています。湯船に使用しても耐久性があり、古代檜から抽出される精油には森林浴同様の作用があるとのこと。深い檜の香りに包まれながら、日頃の疲れを癒すことができます。
屋外にはジャグジー露天風呂が備えられています。目隠し柵で眺望はあまり望めませんが、梅などの木々が見え、季節の移ろいが感じられます。
「大観の湯」の脱衣所にもベビーバスが置かれていました。「百景の湯」以外の大浴場にはベビーバスが置かれ、自由に使うことができるそうです。
「大観の湯」に隣接して自動販売機コーナーやキッズスペースがあり、湯上り処としても利用することができます。
ここにはマッサージ機が4台用意されています。
自動販売機ではアルコールやソフトドリンク、アイスクリームを購入できます。また、本棚には絵本や書籍が置かれ、自由に読むことができます。
湯上り処の壁には湯河原町のマスコット・キャラクター「ゆたぽんファイブ」が使われた湯河原温泉のPRポスターが貼ってありました。湯河原温泉は怪我をして道に迷ったタヌキが発見したと言われており、それでタヌキをモチーフにしたキャラクターが誕生したそうです。
水中照明も楽しめる貸切露天風呂「天翔の湯」
3階には貸切専用の露天風呂「天翔の湯」があります。50分間、1組2,500円(税別)で利用することができ、週末は家族連れに人気。赤ちゃん連れの方も快適に利用できるようにベビーバスやベビーチェアなどが用意されています。
脱衣所は畳敷きになっており、椅子も用意されています。
パウダールームも含め、ゆったりとしたスペースを確保しています。
貸切露天風呂の利用時間は15:00〜24:00。日中の貸切露天風呂からは湯河原の山々や箱根連山を見渡すことができる絶景温泉です。湯船の枠には椹(サワラ)の木を使用し、湯船自体は石張りになっています。
夜は湯河原市街の明かりなどが見えますが、ここで試したいのが水中照明です。
水中照明のスイッチを押すと、浴室内が暗くなり、光の装飾を楽しめます。光はグリーンやブルー、パープルなどに変化していき、これがなかなか美しくて幻想的。昼間の絶景温泉とは違った楽しみ方ができます。
湯船から昼間の絶景を楽しむか、夜の幻想的な水中照明を楽しむかは、入る方のお好み次第でしょうか。どちらも素敵で、迷ってしまいますね。この貸切露天風呂は事前に電話での予約も受付けているそうです。
ホテル東横の大浴場と貸切露天風呂は100%源泉かけ流しではありませんが、湯船を清潔に保つために循環・ろ過を併用しながら、常に新しい源泉を投入しているそうです。
また、カランやシャワーなどのお湯はすべて源泉を利用しているとのこと。泉質が単純温泉のため、配管内などに温泉スケール(湯の華)が付着しにくいというメリットがあるそうです。そのため、ジャグジーの機械も使えるのだとか。
また、大浴場は日替わり営業のため、4か所のうち1か所を休業する場合があるそうです。
ホテル東横での湯めぐりをしっかり楽しんだ結果、頑固な肩や首のコリが緩和され、心身ともにスッキリ。歴史が長く、効能高い湯河原温泉の実力を感じた湯種でした。
客室のお風呂でも源泉かけ流しを楽しめます
自家源泉を所有し、温泉施設が充実しているのがホテル東横の強み。全38室の客室のお風呂にも自家源泉が利用されています。お部屋でも源泉かけ流しを楽しむことができるのは、とても贅沢ですね。
すべての客室には自家源泉が楽しめるお風呂があります。標準和室は8・10・12.5畳のタイプがあり、広縁付きのゆったりとした造りになっています。全室ウォシュレットトイレ付き。
窓からは山々の眺めが楽しめ、湯種が宿泊した5階の客室の窓からは若草山や箱根連山、遠くに相模湾などが見えました。客室は昔ながらの畳の和室でとてもくつろげます。温泉を満喫してリラックスできたこともあり、よく眠れました。
客室棟のエレベーター前に飾られていたインテリアも素敵でした。
露天風呂付き和洋室が人気
客室全38室のうち、露天風呂付き客室は8室(和室3、和洋室5)あります。その中でも人気の露天風呂付き和洋室には広縁付きの和室10畳+次の間4畳にツインベッドルームが備えられ、広々とした間取りになっています。内風呂には檜風呂、ゆったりとしたスペースを確保した客室露天風呂には陶器風呂が備えられ、とても贅沢。
広いデッキ付きの露天風呂には丸い陶器風呂が備えられています。ここからは、源泉かけ流しやジャグジーを楽しみながら、箱根連山の絶景を満喫できます。
内風呂には檜風呂が備えられていて、とても贅沢。
また、この客室の玄関は腰をかけて靴を履けるスペースが設けられ、足の不自由な方や年配の方に考慮した造りになっていました。さりげない気遣いが感じられ、こうした配慮はうれしいですね。
客室を案内していただいているときに宿の方から「最近の若い方ですと畳のお部屋に慣れておらず、布団が苦手というお客さまもいらっしゃいます」と聞いて、びっくり。そうした方も、ホテル東横の和洋室の客室なら過ごしやすいと思います。
卓球室やダンスホールもあります
8階に卓球室があり、2台の卓球台が用意されています。ラケットはシェークハンドとペンホルダー、スリッパ型ラケットの3種類が用意され、料金は1時間1台600円(税別)で利用できます。「ホテル東横で本格的に卓球ができる」と聞き、マイラケットやマイボール、マイウェアなどを用意して来られる方もいらっしゃるとのこと。客室とは離れていますので、周りに気兼ねすることなく、大いに盛り上がれると思います。ホテル東横に宿泊の際には、ぜひ温泉卓球を楽しみましょう。
5階には多目的ホール「イーグル」があります。こちらのホールは何と言っても天井からぶら下がるミラーボールやシャンデリアが印象的。本格的な舞台も付いています。こちらはダンスホールや会議場(180人まで収容可能)として利用できるそうです。夜はカラオケクラブとして使用されることもあるホールは、古き良き時代のムードが感じられ、宿の中にこうした施設があるのは素敵だと思いました。
また、ホテル東横ではロビーや全客室、会議室などで無料Wi-Fiが利用できます。旅先で無料Wi-Fiが使えるのはとても便利。湯種はいつも無料Wi-Fiのありがたみを実感しています。
無料Wi-Fiに加え、ロビーには無料で利用できるインターネット端末もありました。
また、ロビーには超音波メガネ洗浄機が設置されていました。超音波による見えない気泡がメガネの汚れを落としてくれます。メガネ愛用者には、うれしいサービスですね。