箱根町仙石原 月の花 梟(あうる)
今回、井伊湯種が訪れたのは箱根・仙石原にある「月の花 梟(あうる)」。
美食の宿として知られ、客室数わずか4室だけの宿です。全室白濁の源泉かけ流し付き! まずは旅館のコンセプトや客室についてレポートします。
コンセプトは「自分たちが行くなら、こんな宿」
自然豊かな仙石原にあり、1日4組限定の宿「月の花 梟(あうる)」。「満月の夜に梟(フクロウ)が羽ばたく姿が、まるで月の花のように見える」という幻想的なイメージを込めた宿名に合わせ、館内にはフクロウのインテリアが並びます。2007年7月にオープンしたこの宿は、もともと伊豆高原でプチホテル「アウルの森」を営み、旅好きなご主人と女将さんが「自分たちが行くなら、こんな宿」をコンセプトに作り上げたもの。
客室数は全4室(1階に2室、2階に2室)。それぞれ間取りや仕様が異なりますが、全ての客室から緑豊かな庭が眺められ、源泉かけ流しのお風呂付きです。
「香具夜(かぐや)」は半露天の檜風呂が付いたスイート
その4室の中から、まずは1番グレードの高い「香具夜(かぐや)」を紹介します。2階にあり、間取りは、ダイニング、リビング、ツインベッドの寝室、和室8畳に半露天の檜風呂が付いたスイートです。専有面積は、なんと130㎡。室内にシャワーコーナーもあり、贅を極めた空間になっています。開放感にあふれたお部屋で過ごし、檜風呂で大涌谷から引いた白濁の源泉かけ流しを楽しめば、日常をいつしか忘れ、夢気分に。
ライトアップが幻想的! 樽型の露天風呂付きの「月の雫」
また、1階にある「月の雫」(定員2名)。ダイニング、リビング、和室12.5畳にツインベッド、シャワーブースといった間取りで、客室専用の樽型の露天風呂が付いています。夜になるとライトアップされ幻想的な空間が浮かび上がり、森の気配や星空など、箱根の自然を身近に感じながら、いつまでもお湯に浸かっていたくなる雰囲気。こちらの部屋も80㎡と2人で過ごすには充分な広さがあります。
この2つの部屋はダイニングがあるので、室内でお食事ができます。
2Fの大理石風呂付き客室「花の雫」(定員4名)は、家族連れや女性グループに人気。伊豆高原のプチホテル「アウルの森」のお客さまのためにつくったという、1Fの「七夜月(ななやつき)」は、この宿で1番リーズナブルなお部屋で、庭のテラスに樽型の露天風呂が付いています。
すべての客室に大型の液晶テレビとDVDプレイヤーが備えられていて、フロントでソフトの貸し出しも行っています。また、冷蔵庫のミネラルウォーターやソフトドリンクは無料(アルコールは有料)。これはとてもうれしいサービスでした。
大涌谷温泉の白い濁り湯を源泉かけ流しで楽しめる!
「本物の温泉に入りたい」というお客さまのリクエストに応えるため、各客室のお風呂は源泉かけ流し。館内の貸切風呂も自由に利用できます。大涌谷から引いてきた白濁のお湯は、皮膚病に良いと言われている酸性泉。源泉そのものを堪能できるため、いつまでも入っていたくなります。
こちらの宿には大浴場はなく、その代わりとして貸切風呂があり、内湯と洗い場のほか、露天風呂も併設されています。各客室のお風呂と共通の白い濁り湯で、大涌谷から引いてきた源泉をかけ流しで楽しめます。泉質は酸性—カルシウムー硫酸塩・塩化物泉。豊富な湯の花が下のほうに沈殿しているため、撹拌してから入るのがミソ。白濁した湯が大涌谷温泉らしく、色付き温泉好きな私にはたまりません。
源泉は64.1℃で、加水をせずに夏は41℃、冬は42℃に仕立てるそうです。「寒い時は気温がマイナス10℃くらいになることがあります。その時は温度調整のため、熱いお湯を入れますが、それは年に2日くらいのことです」とご主人の加藤さん。
源泉かけ流しにこだわるのは、女将さんが、塩素が苦手のため、お湯の循環や消毒はありえなかったことと、何よりも「加水や加温をしない温泉に入りたい」というお客さまの要望に応えたいという思いから。それを実現するには4部屋が限界だったといいます。最初の頃は温度調整がなかなか上手くいかなかったそうですが、こちらの温泉が心地よいのは、宿のコンセプト通り、「自分たちが入るなら、こんな温泉を」を実現しているからでしょう。
静寂に包まれた夜の露天風呂は風情があり、日常の疲れを癒してくれます。少しねっとりした肌触りの白い濁り湯にのんびり浸かっていると、ほど良く温まり、肌もツルツルになりました。
(酸性のお湯(Ph値2.2)のため、若干、肌にピリピリとした刺激を感じる人もいるかもしれません。皮膚の弱い人はシャワーなどで上がり湯をしたほうが良いでしょう。)