伊東小涌園/伊東 緑涌(りょくゆう) 伊豆伊東温泉
湯量豊富な自家源泉かけ流しを堪能
伊東ではめずらしい飲泉処がある宿で
「飲む温泉」と「源泉パック」を体験
客室すべてに温泉をひき、しかも源泉かけ流しを実現。豊富な湯量で知られる伊東温泉の中でもめずらしい飲泉処のある湯宿「伊東小涌園(いとうこわきえん)」と、別邸の庭園露天風呂付き客室の宿「伊東 緑涌(りょくゆう)」を取材しました。
昭和29年創業の伊東小涌園は、ホテル椿山荘東京やワシントンホテルなどで知られる藤田観光グループの一員。大浴場とすべての客室で自家源泉かけ流しが楽しめるだけでなく、「飲む温泉」を体験できる飲泉処があります。
広々としたロビーは木の温もりが感じられ、洗練された雰囲気。巨大な一枚板を使ったテーブルが印象的です。縦6.5m×横1.8m、重さ1トンのアパ材(アフリカケヤキ)が使われており、素材としては日本最大級だそうです。
フロントのカウンター上には、「純温泉」の認定盾が掲げられていました。温泉マニアにとっては、自然と「いい湯」への期待が高まる表示です。
【純温泉とは】
「源泉かけ流し」の定義が曖昧になるなか、「源泉をそのまま利用している温泉」を『純温泉』として定義したもの。
温泉を選ぶひとつの基準として、一般社団法人純温泉協会が認定しており、「いい湯」にこだわる温泉好きの中には、純温泉認定の施設を選んで湯めぐりする人も多い。
こちらは伊東小涌園の館内。昨年6月、古民家調にリニューアルしました。洒落た雰囲気が素敵です。
まずは飲泉処と大浴場をレポートしましょう。
飲泉処は大浴場の入口にあります。温泉は入るだけでなく、飲むことによっても効能を得ることができますが、保健所の温泉飲用許可を得ないと飲泉処を設けることができません。伊豆の中でも飲泉のできる宿や施設は多くありませんので、たいへん貴重です。
さっそく飲泉してみました。大人は備え付けのコップ1杯が適量です。お湯の温度は43℃で、泉質はアルカリ性単純温泉。クセのないまろやか味で飲みやすく、胃に温泉がしみわたります。胃腸などに良いですので、ぜひ「飲む温泉」を体感してみてください。
豪快なオーバーフローと湯遣いの良さに感動!
大浴場は2つあり、広さや仕様が異なります(時間により男女交代制)。まずは広いほうの大浴場に温泉紀行ライターの飯出敏夫氏と入りました。
浴室に入ってまず驚いたのは、湯船からお湯が豪快にオーバーフローしていたこと。一般の方はあまり気にしないかもしれませんが、温泉マニアにはとても重要なことなのです。
これは湯量が豊富な証。伊東小涌園の源泉は敷地内(伊東緑涌の庭園内)にあり、毎分180リットルの湧出量を誇ります。
湯量豊富な自家源泉を惜しげもなくかけ流しで楽しめるのは実に気持ちが良いです。
温泉入浴指導員であり、温泉ソムリエの資格を持つスタッフの方が温泉の管理をされていて、その湯遣いの良さは抜群。毎日すべての湯船のお湯を抜き、掃除をしてお湯をためています。浴室が清潔なのはもちろん、お湯には鮮度が感じられ、同行した飯出氏もホクホク顔。
やわらかな肌触りのお湯は、伊東温泉の中でもアルカリ性が高いpH8.6の単純温泉。肌がスベスベになる美肌の湯です。しかも、熱めとぬるめのお湯が楽しめるようになっています。
湯種はぬる湯にじっくり入るのが好きなので、ぬる湯の湯船があるとそれだけでうれしくなります。しかも湯船からはお湯がドバドバと溢れ出ていて、これぞ源泉かけ流しの醍醐味!
うたせ湯も2つありました。お湯の量もちょうど良く、首や肩のコリが緩和されていきます。頭へのうたせ湯も思わず「おお〜」と声が出る心地よさ。
露天風呂の湯温は41℃前後でじっくりと入れます。東屋風の造りになっていて、通り抜ける風とやわらかな陽射しを楽しみました。
大浴場の利用時間は14:00〜10:00。深夜2時に男女が入れ替わります。
続いてもうひとつの大浴場をご紹介しましょう。こちらは上記で紹介した大浴場よりもコンパクトな造りになっています。
ぬるめの湯船のほうが広くなっています。
湯口に付いた温泉成分の析出物が温泉マニア心をくすぐります。
開放的な露天風呂では木々の緑がまぶしく、自然の中で源泉かけ流しを満喫できます。
木の温もりのする大浴場の脱衣所はとても清潔。
湯上がり後の休憩スペースには絵本コーナーがあり、お子さま連れのお客さまに好評です。また、隣接してマッサージコーナー(有料)も。
日帰り温泉も14:00から営業していますので、ぜひ利用してみてください。
源泉かけ流しの庭園露天風呂付き客室「伊東 緑涌」
伊東 緑涌は伊東小涌園(本館)の別棟にあり、2016年3月にリニューアルした1日7組限定の庭園露天風呂付きの客室です。
エントランスをはじめ、ロビー・フロント・大浴場などのパブリックスペースは本館と共有しています。
ロビーから客室へ続く回廊は古き良き時代への入口です。伊豆高原の南大室窯でつくられた陶灯りが幻想的。古民家を移設した昔ながらの風情を大切にした客室で源泉かけ流しを堪能できます。
伊豆七島の名前が付けられた各客室には庭園に露天風呂を配置し、内風呂にも自家源泉を利用しています。
その中でも一番広い客室が「こうづ」。10畳と6畳の2間続きのゆったりとした客室で、和紙を加工した畳など、細かなところまで日本家屋の繊細さが感じられます。四季を楽しめる庭園と心地よい風、そしてあふれる日本情緒…。この美しい空間にいるだけで心が解れていきます。
露天風呂の源泉は緑涌の庭園の中にあり、源泉と湯船との距離が近いため、フレッシュな源泉かけ流しを楽しめます。
快適に過ごせるように各客室にコーヒーマシーンや加湿機能付き空気清浄機などを備え、寝具には快眠をサポートする「エアウィーヴ」を使用。冷蔵庫内のドリンクは無料サービスです。
また、夜は星空を眺めながら露天風呂を楽しめます。快適なプライベート空間で伊東温泉を心ゆくまで堪能できますね。
心地よく過ごせる「伊東小涌園」の客室は4タイプ、
客室のお風呂も源泉かけ流しです!
伊東小涌園の客室は全50室。スタンダードな和室や和洋室のほか、最上階4階に和モダンフロア「粋(すい)」-sui-があります。
高級感のある「粋」には、和室とベッドタイプの和室があり、好みで選ぶことができます。
「粋」の客室には伊東の人気店「café TATI sweet」の焼き菓子を用意。
また、加湿機能付きの空気清浄機など、一般客室とは異なるアメニティを備えています。
こちらはツインベッドを備えた和洋室タイプの客室。洋室と和室の間取りでゆったりとしています。寝る時はベッドを使いたいが、畳の部屋でくつろぎたいという年配の方やお子さま連れの方などに人気。
スタンダードなタイプの和室は34室あり、落ち着いた雰囲気。肩肘を張らずにくつろげる客室です。
すべての客室のお風呂に温泉を利用し、源泉かけ流しを楽しめます。大浴場を利用するのがむずかしい乳児も、客室で伊東温泉を楽しむことができます。
また、お風呂上がりには、客室で飲泉処の源泉を使ったフェイスパックもおすすめ。フロントでフェイシャルマスクを用意していますので、気軽に声をかけてみてください。井伊湯種(いいゆだね)も紙コップに源泉を汲んで部屋に持ち帰り、試してみました。
源泉パックはジワジワと気持ちよく、寝落ちしそうになったほど。お肌がスベスベになりますので、女性の方はもちろん、男性の方もぜひ!
また、館内にはカラオケルームや温泉には欠かせない卓球台が用意され、湯上がり後の楽しみが広がります。卓球は30分で550円。楽しい旅の思い出に卓球を楽しんでみてはいかがでしょうか。自動販売機の缶ビールが良心的な価格なこともうれしいですね。
湯量豊富な自家源泉を持つ伊東小涌園・伊東緑涌では、この良質な温泉を自宅でも楽しんでいただけるよう、2022年7月に「温泉スタンド」を設置しました。施設の裏手にあり、車を停めて誰でも気軽に購入することができます。湯種はこの源泉を自宅の風呂の湯に20Lだけ混ぜてみましたが、ツルツルして、いつものお風呂とはだいぶ浴感が変わりました。皆さんもぜひやってみてください。
温泉スタンド営業時間:9:00~19:00
温泉販売価格(税込):30秒間(約20L)100円/75秒間(約50L)250円/150秒間(約100L)500円/300秒間(約200L)990円